第6話 花嫁衣裳

 翌朝、みかんを迎えに行った二人は、マントの下の衣装に衝撃を受ける。

「みかん、まさかウェディングドレスで授業を?」

「はい、レモンお姉さま」

 目を白黒させているレモンとアスパラの横を、数人のクラスメイトが通った。

 みんな黒いマントの下から、純白のドレスがはみ出している。

「まさか……? アスパラ、教室に急ぐぞ!」

 レモンとアスパラが教室に飛び込むと、驚いたことに全員がマントの下に花嫁衣裳を着ていた。

「——レモン様、これは一体?」

「わからん。邪気も妖気も感じられん。だが、あり得ないことが起きている」

 そこに、しゃなりしゃなりとみかんがやって来た。

「……みかん、今日はどうしてウェディングドレスなんだ?」

 レモンが訊ねる。

「昨日、たける君にプロポ-ズされちゃいました」

 そう答えるみかんの目は、どこか虚ろだった。アスパラは慌てて、他の生徒のチャクラを視る。通常であれば、体内の七つのチャクラは活性化し、七色のオーラが体を包む。ところが、みんなのチャクラは停滞気味でオーラもくすんでいた。

「レモン様! みんなのオーラがくすんでいます!!」

「あぁ、まずいな。職員室へ行こう」

 螺旋階段を駆け上り、天使画のはめられた豪華な扉を、ノックもせずに開ける。二人が見たのは異様な光景だった。

「げっ! 先生みんな花嫁衣裳じゃねぇか⁉ 年齢的に白無垢ばっかりだし……」

「じゃあ、あの恋の夢操作は裏試験なんかじゃなくて、魔界の?」

「城の結界を破いて、誰にも気づかれず夢操作をするなんて、そんなことできるのか……? アスパラ、無事なのは私たちだけのようだ。今から私の部屋で対策を考えるぞ!」

「はい!」

 アスパラは緊張していた。この学園に来て三年。今まで、こんな事件が起きたことがなかった。




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