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なな

第1話

はじまり偏


『ナイトメア』


2028年 東京地裁


『いよいよ今日ですね…』

『…だな…』


俺はモニターに映し出された『彼女』を観て複雑な想いにかられていた。


 初めて出会ったのは、幼稚園の頃だろうか…


 あの事故…


 イヤ…


 事件だろう…


 その事件から七年後、彼女の真実と衝撃の再会、関連各所での主犯達の電撃逮捕から全容解明まで全部で4ヶ月…

 スピード解決した背景には、彼女の立ち位置と彼女達の『告発』がおおいに反映してるのは明白だろう…


 彼女の逮捕後、正直俺達はこの事件のそのものの闇の深さに裁判自体の長期化を想定した。


 しかし俺達の予想とは裏腹に、拘留されて一ヶ月後、異例の裁判が行われた。


 その一ヶ月後の現在…


 判決が下ろうとしていた。


 半年で巻き起こった様々な事に自分自身がまだ『事実』を飲み込めていないのが現状である。


 正直、予想以上に早い判決に俺達は面喰らっていた。


 それだけ警察は、司法はこのタイミングでこの事件に早々の区切りをつけたかったのだろう…


 ある意味、当然と言えば当然である。


 センセーショナルな事件に当時は過熱するマスメディアだったが、その1ヶ月後…


 つまり、『異例の裁判が行われた月』


 あの衝撃事件がうやむやになる衝撃の事件が立て続けにおきた…


 今はその事件にマスメディアは釘付けである。


 世間はこの事件でさえうやむやのはずである。


 けれども俺は、それさえも

『彼ら』

の計画に思えてならない…


 この事件は

『ナイトメア』

と言う天才ハッカー達がおこした事件である。

 


カツン…


カツン…


 不規則に鳴り響く靴の音に耳を傾けながら私は前に進んだ…


 今日と言う日が、こんなに早くくるとは思わず正直まだ実感が無いのが現実だ…



 この事件のきっかけは1通のスパムラインだった…


『あなたの人生、リセットしてみませんか?

㈲ナイトメア』


そう送られてきて、URLが書いてあるライン


こんな怪しいラインを見て、普通の神経ならムシか削除をするだろう…


そう…


普通の神経なら…


まともな考えの時なら私もそうだったのだろうか?


 今となっては、それを考える事さえも虚しい思いに感じる…


 それだけ、この七年以上の月日は時間的にもだがメンタル的にも『長かった』のだ…

 


だけどこれだけは言える…


確かに私が…


イヤ…


 私達がしたことは法に裁かれるべき事だし、私はきちんと裁かれる事をしたと言う自覚もある。


そして


彼…


否…


彼らのした事も断罪されて当然であろう…


 けれども同時に私たちは…


そんな『彼ら』に救われた


のも事実だ…


彼らを断罪したら、私達が歩んで来た七年の歳月は虚無になってしまう…


結果はどうあれ 


やり方はどうであれ


 私達は自分達の意思で、力で、選んでしまった道であるのは間違いないのだから…

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