37話 提案

 

「と、まぁ大体こんな感じだな……」

 

 全てを話し終えた俺はそんな感じで一区切りを置いた。


「……な、何か思ったよりも重かったし。結局ハル君はそのことがあったから人との関わる事を辞めちゃったの?」


「そうなるな……。まぁ今話した内容だけなら良かったんだけどな」


「どういう事?」


「結局俺はあの後、部活を辞める羽目になって、月島先輩にも目をつけられたせいで学校中に良からぬ噂を出回って三年間孤立した最悪の学生生活を送りました。チャンチャン」


「そ、そんな……。ハル君は噂の否定をしなかったの?」


「最初は否定してたけど、月島先輩は学校でも人望のある人だったからな。俺とその人の話のどっちを信じるか何て明確だろうよ。つってもまぁ終わった話だし別に俺は気にしてねぇよ」


「……そっか、じゃあハル君はもう自分から他人と関わることを辞めてるんだよね」


「まぁそれが俺の意志だしな」


「そうだね、ハル君の言いたいことは分かったよ。でもそれはあくまでもハル君の意志でしょ? あたしの意志はハル君のものとは違うから」


「お前何を言って……」


「ハル君が他人と積極的に関わりたくなくても、あたしはハル君と一緒にいたい。ハル君がそれを完全に拒絶するまではさ……。最終的に関係がこじれちゃうかもしれないけど……それでもあたしはハル君の隣に居たいってそう思うから……」


「だからね、あたし待つからさ。ハル君がまた他人と前向きに関わっても良いって思える日までずっと待っている。今思いついた提案なんだけど、駄目……かな?」


 七宮の言っている事は滅茶苦茶だった。

 彼女は俺みたいなボッチ拗らせまくった面倒な奴とこれからも一緒に居たいと願っているのだ。しかも俺の不治の病が治るその日まで……。


「良いのか? 自分で言うのもアレだが俺は本当にどうしようもない孤高を自称した腐れボッチだぞ」


「良いよ。だってそれをひっくるめて、あたしはハル君が好きだから」


「そ、そうか……」


 ちょっとそこまでストレートに好きとか言われると流石に反応に困る。

 あまり俺の童貞力を舐めないでほしい。

 そういうの慣れてないんだから手加減してくれ……。


「あーあ、何か色々話したらスッキリしたし! そろそろ夜も遅いから帰ろっか」


「そ、そうだな……」


 話を終えた俺達は公園を後にすることにした。

 それにしても、まさか昔話を七宮にすることになるとは思わなかった。


 昔を思い出して嫌な気分になると思っていたけど、今の俺はどこか身体が軽くなったようなそんな感覚だった。

 それは恐らく隣にいる彼女のお陰なのだろう。



 

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