22話 体育祭準備

 すみません、更新遅れてしまいました。

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 翌週木曜日、いよいよ明日は体育祭本番である。そういう訳で現在、学年全体に渡って前日練習が執り行われていた。前半はクラス練習の時間である。

 そして俺達はというと、クラス対抗長縄跳びの練習に励んでいた。


 因みに先日行われた50メートル走の結果、男子でリレーの選手は水沢、石田、大岩の陽キャラトリオと陸上部に所属している田邉の四人に決定した。そして、誠に遺憾ながら俺は補欠になってしまった。まぁギリギリセーフといったところだろう。

 もし手を抜かなかったら選ばれていた可能性があったので、俺の判断は正しかった。


 なんて思いながら俺は大縄跳びの練習をする為に所定の位置についた。

 大縄跳びはクラス全員で行われるため、二列になって真ん中で背中合わせをするというフォーメーションの形になる。


 縄を回すという重大なポジションにいるのは大岩と石田である。

 ったくクラス全員参加とかいう名目が無ければ絶対にサボっていたのに……。

 かったるいなぁ……。そんな事を思いながら俺は跳ぶ準備をする。


「じゃあいくべ! せーのっ!」


 石田の合図と共に大縄跳びが始まった。

 ひとまず掛け声に合わせて、俺もタイミング良く跳ぶことにした。


「いーち、にー、さーん」


 思ったよりも順調に数を重ねていた。まぁぶっちゃけ余裕過ぎる。

 俺にとってはミスなんて有り得ないぐらい簡単な事だが、飛んでいる人が四十人弱いるので仮にミスする可能性が一人当たり一パーセントだと仮定すると、直ぐに終わってしまう計算になる。


 なんて余計な事を考えていると、俺はとんでもない事に気が付いた。

 斜め前にいる黒崎の胸が異常なまでに揺れまくっているのである。

 おいおい、勘弁してくれよ。そんなの知っちまったら集中できねぇじゃねーか……。


 俺の立ち位置的に視姦するには絶好の位置である。クッソ、何とか視線を逸らさないと……。黒崎の奴、前から思っていたけど胸が滅茶苦茶でかいな。恐らく藤原先輩といい勝負をするのではなかろうか。七宮がDかEと仮定すると彼女達はF以上ある。


 ……ったく俺は大縄跳び中に何を考えてんだ、集中しろ。

 クラスの明るい奴ならともかく、俺がミスったら誰もドンマイなどと声を掛けてくれない故に、マジでお通やモードまっしぐらだぞ。


「なーな、はーちっ! ……あっ」


 次の瞬間、とうとう連鎖が途切れたので強制終了することになった。

 同時に俺の身体全体に悪寒が走る。


 何を隠そう、ミスをしたのは俺である。


「はぁ? 早くない? ミスったの誰だし!」


 俺の近くに居たギャル事、山城がやや切れ気味でそんな事を言い出した。

 もう止めて! あたい……犯人捜しとか良くないと思う!


 ……つーか、これまじで彼女に対してクラスの足を引っ張ってしまい申し訳ございませんでしたぁ! って土下座する流れなんじゃねーの? 俺は靴舐めもいける覚悟があるけど、どうする……ここは腹をくくって実行するか?

 まぁ取り敢えずこれ以上放置すると、クラスの空気が悪くなりそうだし、自首するか……。


「わりぃ、ミスったわ」


 俺は手をあげながら素直に謝ることにした。


「……次はちゃんとやってよね」


 不機嫌そうに山城が呟いた。ったくなんで俺がこいつに謝んなきゃいけないのか理解出来ない。ギャルの癖に体育祭は意外と本気出しちゃうタイプなのか?


「次は頑張ろう、立花君」


「そーそー、誰にだってミスはあるしね!」


 近くに居た水沢と黒崎が俺の事を励ましてくれた。

 おぉ、陽キャラ達の声があったけぇ……。

 これが優しい世界。理想郷、ユートピア。


 俺みたいなゴミにも優しいこういう奴らこそ真のリア充ではなかろうか?

 いやでも、冷静に考えたら黒崎の胸がでかすぎるせいで俺がミスったんだよな。

 百パーセント彼女のせいとは言わないが、ちょっと凹凸ハッキリする体操服においてその武器は余りにも俺に対して強すぎる。


 次からは視線を逸らすどころか、目を瞑って大縄跳びをしなければならなそうだ。

 これ以上ミスするわけにもいかないし、少し本気出すか。

 なんて格好つけながら俺は気合を入れ直した。

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