■Episode02:ノウェアについて
その昔、ある場所で……神のように崇められている者がいた。
その名は「ノウェア」
覚めない眠りに落ちたまま千年以上の時を生きる、謎の少女。
彼女がいつから眠っているのか、なぜ眠りに落ちてしまったのか、
それを知る者はどこにも居なかった。
それほど長い時をノウェアは、眠ったまま過ごしていたのだ。
ただ一つ「彼女が目覚めるまで全霊を賭して守るべし」
という何者かの命令だけが、脈々と受け継がれていた。
傍から見れば年端もいかないその少女は、
その容姿を保ったまま、ひたすらに眠り続けた。
彼女は人智を超えた存在として、信仰を寄せられ、
どの時代においても、あらゆる人々から崇められた。
そして、それぞれの時代の技術の最先端によって守られ続けた。
眠りを妨げぬように……そして、もし目覚めても健やかであれるように、と。
いつまでも、いつまでも……
子から子へと意志は受け継がれ続けた。
それから更に、気の遠くなるような時を経て……
世界から人という種は姿を消した。
人が消え失せたことで、意志が継ぐものも潰えてしまった。
しかしそれでも、ノウェアの傍らには彼女を守る者が存在していた。
人々の意志を宿した機械が、彼女の目覚めを待ち続けていたのだ。
かくしてノウェアは、人間が姿を消した機械だけの世界で、目を覚ますこととなった。
機械たちが管理する施設での暮らしが始まってから数ヶ月……
ノウェアは、マザーに導かれながら、かろうじてではあるが、問題なく生活を営むことができるようになった。
神と崇められていた少女は、とうの昔に終わった世界で……普通の人間と変わりなく日々を送っている。
何をしたいのか、何になるべきなのか分からず……
真っ暗な闇の中を一人で歩くように……孤独を抱えて、ただただ生き続けている。
しかし……そんな日々の中でノウェアは、一つの希望を見つけた。
そして、マザーの詰問を振り切った彼女は今……その希望に向けてひたすらに、歩を進めていた。
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※本作は、Vtuber「Nowhere」のノベライズ作品となります。
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Nowhere -終末少女-
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シナリオ:長坂 亮汰(https://twitter.com/nagasaka0110)
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