第353話 束の間の休息と関係修復。
アーヴィンを離れカルネに戻ったアーレイは、島に入りジャクリーヌと今後の事を相談していた。
アーレイ)「ジャクリーヌ、穀物運搬用の貨物船はいつディスティアに向かうんだ?」
ジャクリーヌ)「来週の予定ですが変更しますか」
「決戦の日に合わせられるか?」
「はい、急ぎの分を運べば大丈夫です」
「それで、この前買った輸送船をカルネに返すから、”船籍”変更たのめるか?」
「それって”お土産”付きですよね」
「感が良くて助かる、それで烈波を途中までだすから載せきれない分を運んでくれないか」
ジャクリーヌはディスティア防空圏内に戦闘機を送り込み、防衛システム無効化する事を理解していた。
ジャクリーヌ)「はい、わかりました」
アーレイ)「用件は以上だ」
「お帰りになりますか?」
「そうだね、今からラインに向かうつもりだ」
「お忙しいですね」
フローレンス)「泊まっていきませんか?今から行くと必ず泊まる事になりますわよ」
アーレイ)「あっ、レンは久しぶりだからか」
「そうです、間違いなく引き止められます、それなら明日伺ってゆっくりした方が宜しいかと」
「わかった、ジャクリーヌいきなりで悪いが泊まっていいかな」
ジャクリーヌ)「もちろんです!」
フローレンスの先読みでカルネに泊まる事になった。
ポコ)「今日、漁は無理ナノ」
気がつけば夕方前だったのでポコの漁は取りやめ、プールの様な超大型ジャグジーに4人で入る事になった。以前ジャクリーヌに提案したら作ってたよ。
ポコ)「プクプク・・・ザバァー」
アーレイ)「こら、潜るなポコ!」
ポコ)「楽しいナノナノ」
フローレンス)「凄いですね水平線と水面が混じりあって、開放感があります」
アーレイ)「コレいいでしょ」
フローレンス)「はい凄くロマンチックですね〜」
ジャクリーヌ)「このジャグジーはアーレイ様の提案なのですよ」
ジャクリーヌが飲み物を持って現れる。
フローレンス)「キャ!ジャクリーヌ様カッコいい!」
ジャクリーヌは黒のワンピースタイプの水着なのだが、スリットが斜めに何本も入りとてもセクシーだ。
ジャクリーヌ)「皆様、お飲み物ですわ」
ジャクリーヌの立ち振る舞いが軽やかになっていた・・。
アーレイ)「雰囲気が変わったね」
ジャクリーヌ)「フローレンス様、アデール様の立ち姿、振る舞いを参考に変えてみました」
アーレイ)「とても綺麗だよ」
アデール)「うん、凄く上達してますね」
「アデールが教えたの?」
「はい、使わない教材など送りました」
「流石女性ネットワーク!」
フローレンス)「えへへ、私も色々送りましたのよアデールと相談して」
アーレイ)「仲が良いのはいい事だね」
ジッとポコがアーレイを見てた。
ジャクリーヌ)「ポコも凄く成長しましたね」
ポコ)「ナノ!」
アーレイ)「そう言えば、ポコも立ち振る舞いが格段に良くなったな」
ポコ)「ポコはアーリー様に教わったナノ」
「うーん、そこが気になる」
「準備万端ナノナノ」
「・・・」
よく見ればポコは少女というより、出るとこが出た立派な女性に変化していた。
フローレンス)「ポコちゃん、急激に成長しましたよね」
アーレイ)「アーリーのイラん努力の賜物だな」
フローレンス)「私は〜、ポコちゃんなら許せるかな〜」
ポコ)「本当ナノ!嬉しいナノ!」
アーレイ)「おい!燃料投下するな!いらん事言うな」
ポコ)「ハァハァ(涎」
アーレイ)「おい!ポコ発情するな〜!」
アデール)「うふふ、脳内ピンク色キャ!」
アーレイ)「いらん情報ありがとう」
フローレンスの余計な一言でポコは更に成長してしまう・・・。
「ぼよ〜ん、ムチ!」
フローレンス)「す、凄い、か、変わった・・」
アーレイ)「いらん事言うから・・・」
ポコ)「ムフフするナノ!」
「ダッ!」
フローレンス)「あっ、逃げた」
アデール)「うふふ、今日は私がお相手しますね、少しお話があるので」
「わかりましたアデール、楽しんで」
「うん」
ポコ)「ダノー!」
アデール)「あなたはまだダメよ」
「ナーノ」
すでにポコは組み込まれているのだろうかアデールの余裕が怖い・・。
ーー
アデール)「星が綺麗・・」
数時間後、アデールとアーレイは水上コテージのテラスで手すりに寄りかかり佇んでいた。
アーレイ)「いよいよ決戦が始まるんだよな」
真上の星空を見ながら話すアーレイ。
アデール)「大丈夫でしゅ、アーレイひゃんなら勝てます」
アーレイ)「明日、デルタに戻るが君はどうする」
「私はポコとクーンに戻ります」
「それなら、帰りにタイラーを連れて来てくれないか?」
「魔法部隊でしょうか」
「そう、最後の追い込みに使いたい」
「わかりました、デルタに送り届けます」
「ありがとうアデール」
ギュ!アーレイは後ろからアデールを抱きしめる。
アデール)「アン!」
アーレイ)「コラコラ」
「ウフフ」
「ありがとうアデール、君のおかげで星団統一の道筋が見えてきた」
「皆んなの力ですよ」
「そうだけど君が1番の功労者だよ」
「フフありがと、アーレイ好きよ!」
「僕もだよ」
「ねぇ、このままここで愛して」
「いいよ」
「こんな綺麗な星空の元でなんて最高ネ!」
「チュ」
優しく後ろから優しくキスをするアーレイ。
アデール)「ウフフ!」
ロマンチックな星空を眺めながら愛し合う2人だった・・。
ーー
エスモンド)「ジョナス聞こえるかエスモンドだ」
ジョナス)「んっ、エスモンドだと」
いつもの様にジョナスに話しかけるエスモンド。
エスモンド)「久しぶりだな」
ジョナス)「ああ、ディーデリヒはどうした」
「彼は死んだよ」
「なんだと・・そうかそれは残念だった」
「敵将を残念がるなんて珍しいな」
「まぁ、アーレイと少し似てる所があってね、彼は表裏がなくて好きだった」
「ディーデリヒは異世界人だったから地球に返したよ」
えっ?異世界人と聞き驚くジョナス。
エスモンド)「アーレイも異世界人だろ多分同郷だな」
ジョナス)「噂では聞いたことがるが」
「そうなのか、地球に帰還する際に親しく喋っていたぞ」
「ふむ、そういうことなのか・・」
「それでな、今からこの船を囮に使うために動かすんだよ」
「なんだそんな事か」
「君は気にならないのか?」
「体は動かん、戦艦は動かせん、見えるのは船内だけでどうしろと言うんだ!」
エスモンドも最新機材に疎く、ジョナスに言われ気がついた。
エスモンド)「すまん、君の状態がよくわからなかったのでな」
ジョナス)「気にするな、好きに使ってくれ」
「技術屋がコンタクトを取れずに困ってたぞ」
「アイツらまた俺を死人呼ばわりしたから絶対喋らん!」
コール)「すみません、不愉快な思いをさせてしまいました」
横で聞いていたコールが謝罪の言葉を述べる。
ジョナス)「君は?」
コール)「技術責任者のコールと申します」
「ふむ、そうだった、暴言を吐いたのは君の部下か?」
「はい、そうです」
「謝罪は頂いた、何が望みなんだ」
ジョナスは謝罪を受けたので一応協力しようと考えた。
コール)「現在、戦艦のメインサーバーに取り込まれた意識をカプセルに移そうとしているのですが、機器が壊れ思う様に接続出来ません」
ジョナス)「そうだな、俺も何度も試みてるが戻れないし、他のネットワークから試みたがカプセルにすら到達できない」
「原因はわかっています、戦艦のCICネットワークをこちらが遮断してまして」
「技術的なことはわからん、そこに繋げばバーチャル艦橋に行けるのか」
「はい、行けるのですが船を操作できるので遮断してるのです」
「ふむ、俺の意識はそのネットワークから追い出されたんじゃないのか」
「それは承知しています」
「武装解除してれば怖く無いだろ」
「そうなのですか」
「まぁ囮に使うらしいから今更繋がってもな」
「わかりました、CICに繋げます」
コールは試してないCIC経由の方法を試す決断をする、時間もないがそれ以外方法がないためだ。
カチカチとキーボード叩き、コールはCICシステムに接続を開始すると、ギューンと音を立て沈黙していたメインフレームが起動、眠っていたCICIの電源が入り光り始める。
Ai)「CICオンライン、セーフモード解除しますか」
コール)「解除してくれ」
Ai)「生体登録不一致、権限がありません」
ジョナス)「君じゃ解除できんよ」
コール)「ふむ、やはりそうでしたか、セキュリティがしっかりしてますね」
「メインプログラムは最新だからな」
「なるほど、ハッキングできない訳だ」
「セーフモード解除!」
Ai)「生体認証ジョナス准将確認しました、セーフモード解除」
セーフモードが解除されると、ジョナスの意識は艦橋に戻される。
ジョナス)「おお、艦橋に戻れたぞ」
コール)「それは良かった、手動で起動しますのでお付き合い下さい」
「ああ大丈夫だ、久しぶりに全身の感覚が戻って嬉しいよ」
コールとジョナスは起動シーケンスを色々試し、戦艦グレイスは数年ぶりに再起動を果たす。
コール)「メインエンジンは破壊されているので、補助電源用のエンジンを起動しました」
ジョナス)「自走はできないのだろ、通信機は使えるのか」
「はい、推力が足りません、それと私の権限では通信機は弄れません。ジョナス准将、失礼ですが通信機を触れますか」
「大丈夫だが、やってみるか」
「お願いします」
ジョナスは通信士の席に移動しコンソールを触る。
ジョナス)「アンテナエラーが出て近距離用しか使えないな」
コール)「アンテナは取り外してありますから」
「それはそうだな、結局カプセルには戻れなかったな」
「すみません、色々ありがとうございました」
「君が謝ることじゃない」
エスモンド)「それでは、出発は5日後だ」
ジョナス)「ああ、メインフレームの時計が見れるから待ってるよ」
この後出発準備を行い、サルベージ船に接続されたグレイスは出発を待つばかりとなった・・。
ーー
ポコ)「ジャンプアウトするナノ」
バシューン、フォーレストに立ち寄るため向かうのはアデールとポコの2人だった。
ウィン)「ようこそお越しくださいました」
アデール)「久しぶりねウィン」
「はい、タイラーの準備は終わっております」
「わかったわ、レナルドは大人しくしてるの」
「ええ、離れに幽閉してから急に大人しくなって、何やらブツブツ独り言を喋っています」
レナルドは脱獄する為の古語の呪文を呟いていた・・。
アデール)「どうせ脱獄するために何かこそこそやっているのでしょう」
ウィン)「脱獄ですか?」
「あいつが本気で反省する訳ないでしょ、今から見てくるわ」
「は、はい」
アデールは離れに行き、ステルス状態で小窓から中の様子を伺っていた。
レナルド)「クッソ、魔法無効化壁には隙間がないのか」
アデール)「あらら、思い切り脱獄しようとしてるわね」
レナルドは有りとあらゆる方法を試していた。だが強固な魔法無効化壁の前には歯が立たなかった。
レナルド)「食事を運んでくる侍女を支配魔法で操るしかないな」
アデール)「うふふ、悪戯しちゃおう!」
すでに朝食は運ばれていたので、昼食の際にアデールはレナルドにお仕置きをする為に一旦王宮に戻る。
アデール)「ウィン、レナルドはやはり脱獄をしようと色々な魔法を試してたみたいよ」
ウィン)「ええ、分かっていたので魔法無効化壁を3重に施してあります」
「そうわかった、反省してないなら突き落としてあげないと」
「な、何をするつもりでしょうか」
「うふふ、ねえポコちゃん、デルタに行ってバーチャル装置持って来て」
ポコ)「わかったナノ、カプセルごと持って来るナノ」
アデール)「技官のマドックもお願いね!」
「分かったナノ!」
ローレンスを飛ばしポコはデルタに、アデールはこの後レナルドに悪戯をする為に色々動き回った・・・。
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