第20話 ダンジョン攻略の終わり

 アンデッドゾーンを抜けて、いよいよラスボスらしい。

 通路の先に巨大な空間が開けているのが目に映る。

 そして奥には巨大なドラゴン。


「強そうだな」

「たぶん、あれはエンシェントドラゴン」

「美味しそう」


「どんな奴なんだ」

「推定SSSランクよ。Sランク10人で討伐可能と言ったところかしら」

「うわ、めんどくさそう」


灼筋しゃっきん先輩、他の人を待ちましょう」

「そうだな。それが良いかも」


 しばらく経って、王打が。

 そして、いくらも経たないうちに剣聖が到着した。


「がん首揃えて情けねぇ。なぁ、王打おめぇもそう思うだろ」

「数を頼るのは男らしくないが、冒険者としては正しい判断だ」


「一番槍をやってやるよ。倒しても文句はいうなよ。その時はダンジョンコアは貰う」

「それじゃ行くか。本当のこぶしっていう物をドラゴンに分からせないとな」

「援護は任せて。さぁ、魔法撃ちまくるわよ」

「食材の処理は任せてなの」

「遊撃をする。お前ら邪魔だけはするなよ。灼筋しゃっきん先輩は見ていて下さい。先輩が手を出すと一瞬で終わるとスライム達が言ってます」

「じゃ、切り札よろしく。最後に登場するから」


「剣聖参る。【斬撃強化】、溜めのいち、溜めのに、溜めのよん、溜めのはち、溜めのいちろく、溜めのさんに、溜めのろくよん、溜めのいちにっぱ、溜めのにごろ、溜めのごいちに、溜めのいちぜろにいよん、溜めのにいぜろよんはち。解き放つ破音剣はおんけん、おりゃー」


 羽音な様な音がして、エンシェントドラゴンに剣聖の剣が叩きつけられた。

 剣はエンシェントドラゴンに当たって砕けた。

 エンシェントドラゴンは虫を追い払う気軽さで前足を振るう。


「業火よ湧きあがれ泉のごとく湧き上がれ、エクスプロージョン【魔法巨化】」

「超強酸砲」


「剣聖、避けろ。【流動】キングインパクト」


 魔法を食らったエンシェントドラゴンは、そっちに気が取られ腕の動きが鈍った。

 剣聖は転がってかわす。

 がかすったようだ。

 額が切れ血しぶきを上げた。


 おっ、動脈をやっちゃったか。


「【ローン】魔法1000倍。かの者を癒せ、ヒール」


 俺は1000倍の魔力で転がってきた剣聖にヒールを施した。


「そんでもって。剣聖、悪いな肩代わりしてくれ、治療代だからな。【肩代わり】」


 魔力の肩代わりは剣聖にしてもらった。

 前衛に魔力は要らないからな。


 戦況を見るとジュエルスターの超強酸砲はダメージにはなってない。

 王打のキングインパクトは多少のダメージにはなったみたいだが、決定打には程遠い。


 隙を見て大食幼女がエンシェントドラゴンの後ろ脚に噛みつく。


「硬い。歯が立たない」


 そう言って転がりながら帰って来た。

 剣聖は二三度、頭を振ってから、立ち上がったが、ふらつき倒れた。


「情けねぇ、血を流し過ぎた」


 剣聖はリタイヤと。

 王打が尻尾の一撃を食らって壁に叩きつけられた。

 はいはい、今、衛生兵が行きますよっと。


「【ローン】魔法1000倍。かの者を癒せ、ヒール」


 俺は1000倍の魔力で壁にめり込んで呻いている王打にヒールを施した。


「治療代もらうよ。【肩代わり】」


 ジュエルスターが剣を抜いてエンシェントドラゴンに向かって行く。


「ブルースラッシュ。うばらぁ」


 斬りかかったと同時に前足の反撃を食らって真っ二つにされた。

 これで3人リタイヤか。


「業火よ湧きあがれ泉のごとく湧き上がれ、エクスプロージョン【魔法巨化】。業火よ湧きあがれ泉のごとく湧き上がれ、エクスプロージョン【魔法巨化】……業火よ湧きあがれ泉のごとく湧き上がれ、エクスプロージョン【魔法巨化】」


 アンリミテッドは魔法の使い過ぎでダウンと。

 エンシェントドラゴンが大口を開けた。

 ブレスが来るのか。

 撃たせないよ。


「【ローン】スピードと腕力と防御10000倍からのアッパー。死なないのか。じゃ、【肩代わり】」


 1万倍パワーでジャンプして顎をアッパーパンチしてからドラゴンに肩代わりさせる。

 1万倍では足りなかったようだ。

 ドラゴンは口を強制的に閉じさせられ目を丸くしている。


「【ローン】腕力と防御100000倍からの。腹パン」


 10万倍パワーの腹パンでドラゴンの腹は陥没した。

 勝ったのか。

 ドラゴンは地響きを立てて倒れた。


 277時間のローンスキルの負債が残ったな。

 誰に肩代わりさせよう。

 11日程だから、大人しくしておくのも手か。

 骨休めもたまにはいいだろう。


 ドラゴンの後ろに身長ほどの柱がありそれに玉が載っていた。

 手を伸ばして取るとダンジョンの気配が変わった。


「食べて良い」


 大食幼女がドラゴンの死骸を前によだれを垂らしていた。


「全部は駄目だ。そうだ、尻尾だけにしとけ。ワニは尻尾が美味いらしいぞ」

「うん」


 大食幼女がドラゴンの尻尾のウロコを剥がす。

 そして、かぶりついた。


 俺はジュエルスターにスライム回復液を掛けてやり、アンリミテッドの口にマナポーションを突っ込んだ。

 終わったんだよな。

 うひょー、金貨1万枚げっとだぜ。

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