第17話 スキルの話
大食幼女が先頭にいてオークを食い散らかす。
そう言えば着ているワンピースが汚れないな。
「大食幼女のワンピースが汚れてないけどなんで」
「馬鹿ね、魔道具に決まってるでしょ」
大食幼女に代わってアンリミテッドが答えた。
「強酸砲」
本当だ。
ジュエルスターの酸が掛かってもへっちゃらだ。
流石Sランクだ。
装備にも金を掛けている。
さぞかし高いんだろうな。
そんな事を考えているうちにオークは片付いた。
「酸っぱいのも美味しい」
さいですか。
強酸が掛かったオークが美味いと思うのは大食幼女だけだと思うな。
次の広間に出たら、いたのはグリフォンだった。
「鶏肉」
「今、絞めるからね。風よ刃となりて切り裂け、ウインドカッター」
風の刃がグリフォンを切り裂く。
落ちてきたグリフォンを大食幼女が平らげた。
大食幼女がぷっと魔石を吐き出す。
素材は採れないのは残念だが、魔石が残るだけでも良いか。
向かう所敵なしだと思ったら、次の相手の巨大スライムは違った。
「こいつ嫌い。腐った味がする」
大食幼女にも嫌いな物があったか。
「【共生】仲間になれ」
スライムがジュエルスターに吸収されていく。
あんなに巨大なのに体の体型に変化はない。
まあ、寄生させてるスライムの特性とかで収納バッグの役割をしているんだろうな。
「ジュエルスター、お前の共生ってスライム限定なのか」
「いいえ、魔獣なら何でも大丈夫です」
「じゃ、殺さないで手懐けて行ったら最強じゃないか」
「相性があって喧嘩するんです。酷いと同種でもやります」
ああ、ジュエルスターには襲い掛からないが、魔獣同士は駄目って事ね。
「でもよ。ドラゴンとか手懐けたら恰好いいじゃないか」
「ドラゴンを従えるのは無理です。強いとプライドが高いので」
「そうか。万能って訳じゃないのな。そういう面ではアンリミテッドの魔法巨化は使い勝手が良いよな」
「私のスキルは魔法の効果を何十倍に拡大するけど、細かい制御が効かないのよ。ちょうどいい威力に抑えるとか、出来ないわ」
「ノーマルと全開アクセルか。ピーキーだな」
「何よ。私のスキルが使えないって言うの」
「嫌、被害が大きい魔法を使うから、問題なのであって。飲み水を出す魔法とかを使ったら良いだろう」
「やってみるわ。水よ湧き出ろ、ウォーター【魔法巨化】。水よ湧き出ろ、ウォーター【魔法巨化】。水よ湧き出ろ、ウォーター【魔法巨化】」
水の塊が宙浮かび、通路が塞がる。
水で満たされたその先から魔獣の悲鳴が聞こえた。
上手くいったじゃねえか。
こりゃ楽でいい。
「なんかえげつないわね」
「そうか。ザコを一掃できるし、良いんじゃないか」
「ぶぇっくしょい。【流動】水よ流れろ」
おや、水を満たした先に人が居たみたいだ。
水が物凄い勢いで流れて引いた。
「酷い目にあったぜ。これはお前達の仕業か」
「
「俺のせいだっていうのかよ」
「水責めは禁止だ。他の冒険者に迷惑が掛かる」
「いい案だと思ったんだがな。見えない所まで攻撃するってのがネックだな。うがぁ、考え付かん」
「借金くずよ。仕事終わったらおごれよ」
「はいはい、ついてないな」
「熱よ暖めろ、ヒート」
「おう、鎧も乾いたぜ。サンキュ」
「私達のせいだから」
しかしなぁ。
なんとかなんかな。
種火の魔法じゃ飛ばせないし。
攻撃魔法を魔法巨化したらフレンドリーファイア待ったなしだ。
「さっきから、ぶつぶつとまだ諦めてないのね」
「だって悔しいじゃないか。知恵比べに負けたようでさ」
「世の中、上手く行く事だけじゃないわ」
「結論、魔法巨化はダンジョンのザコには向かない」
「そうね、私も広い空間で魔法を放つ方が好きだわ」
スキルも色々だ。
俺のスキルも決して使い勝手が物凄く良い訳じゃない。
工夫しないとな。
最強の道は遠い。
まあ、最強を目指してはいないけどな。
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