第16話 クラン・フェリアルと対戦

「強酸砲」


 ジュエルスターの強酸砲でオークが溶けていく。

 もっと歯ごたえのある奴はいないのか。


 てとてとと歩く音がする。

 この足音は大食幼女。


「どうしたんだ。迷ったのか」

「ううん。みんなこっちだよ。読み通り」


 クラン・フェリアルのメンバーが集まった。


「アンリミテッド後輩はどうした」

「安全な場所で眠っている」


 4人がかりで攻めてきやがったのか。


「やろうってんだな。【ローン】スピード10000倍からの【肩代わり】」


 けものにスピードを肩代わりさせてやった。

 これで丸一日動けないはずだ。

 これで、けもの脱落ね。


「大食幼女。どうすれば良い」

「みんな拳を握るの」


 うわっ、大食幼女に俺の攻略法を見抜かれた。

 確かにそうすれば肩代わり戦法は使えない。

 どうなってるんだ。


「ふん、食い物を知能に転化した大食幼女は無敵だ」


 頭脳、極振りかよ。


「眠りなさい。スリープ。あれ効きませんね」

「睡眠は無効化されているの。砂嵐を起こすの」

「仕方ありません。【砂化】砂嵐」


 砂嵐で何も見えなくなった。


「【消化】聴力に転化。こっちなの」

「俺の出番のようだな。【硬化】ダイヤモンドバッシュ」

「ぐわっ」


 ジュエルスターが弾き飛ばされたようだ。


「こっち」


 まずい、どうする。

 ローンスキルで能力を借りるのはいいが返済の目途が立たない。


 なんてね。


「【ローン】スピードと腕力と防御10000倍からの。【肩代わり】」


 一瞬でパンチの風圧を使い砂を壁に叩きつけた。

 そして重厚のボディに打ち込み、倒れている重厚に肩代わりさせた。

 残るは大食幼女のみ。


「降参。食べ物がもうないの」

「それは大変だ。魔獣を平らげてきなさい」

「うん」


 この隙に。


「【ローン】スピード10000倍からの。【肩代わり】」


 気絶している砂男の手を開いて肩代わりさせた。

 これでこいつらは役に立たない。


 救難信号を出しておいてやろう。

 運がよければ出口まで連れて行ってもらえるはずだ。

 振り出しに戻る事にもなるがな。


「ほら、起きろ。スライム回復液を掛けてやったぞ」

「ふがいなくて済みません、灼筋しゃっきん先輩」

「良いって。四人がかりじゃな。砂嵐で視界を奪ってくるとはな。それに拳を握るなんて簡単な弱点が俺にあるとは思わなかった。まあ、気絶させちまえば関係ないけどな」

「強敵でしたね」

「まあね」


「あんた達、クラン・フェリアルのメンバーを見なかった」


 アンリミテッドが現れてそう言った。


「それなら少し引き返した部屋で倒れているぞ。救難信号を出したから、今頃は救助されているかもな」

「あいつら、私を眠らせやがった。今度会ったらただじゃ置かないわ」

「アンリミテッド後輩、他のクランを信用しすぎだ」

「まあね、隙があったのは認めるわ。でも仲間に誘っておいて騙すなんて。絶対に移籍なんてしないわ」


 てとてとと音がする。


「あら、大食幼女」

「お姉ちゃん」

「こらめっ、今度騙したら酷いからね」


 アンリミテッドがデコピンで大食幼女の額を弾く。


「このメンバーでダンジョン攻略と行きますか。大食幼女が前衛でジュエルスターが遊撃。アンリミテッドが後衛な」

「何、仕切ってるのよ。あんたは何するの」

「俺、俺は切り札。どうしようもない強敵が現れたら助けてやるよ。身内価格でな」

灼筋しゃっきん先輩、さっきの戦闘の分はツケておいて下さい。あとでまとめて払います」

「金取るの」

「冗談だ」


 このメンバーなら楽が出来そうだ。

 露払いは任せた。

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