第12話 トレント退治
「おはヨウ素」
「ヨウ素ってなんだよ」
「ヨウ素は原子番号53の元素」
「もう良い。聞いたぞ。お前、魔石を割ってクランに金貨1000枚の借金があるんだって」
「シラス、じゃなかったイヤミ。いやイライラ。違ったイラスだ」
「お前、俺の名前を憶えてなかったのか」
「そういやイラスの通り名は?」
「毒牙のイラスだ。ちなみにAランクだ。こんど間違えたらただじゃおかない」
「緊急要請。トレントの大群が秘境の森から街に向かってきてます。Cランクは至急到着されたし」
ばあさんから金貨10枚せしめて、ホクホク顔で現場に向かった。
今回はCランクの緊急依頼らしい。
到着するとみんな斧を片手にニコニコと笑っているのが不気味だ。
「なあ、なんで笑ってるの」
「おめえ、トレントと言ったら高級家具の材料だあ」
「金になるって訳か」
「たんまりとな」
防御力の返済をトレントに押し付けても良いんだが、長い間、紙装甲でいるのはきつい。
これはあれだ。
魔法で方をつけるだな。
しばらくして、森が動いているのが遠目にも分かった。
おいでなさったな。
「まずは一発。【ローン】疾風よ刃となりて襲い掛かれ、ウインドカッター」
100万人分の魔力で魔法を放ってやった。
トレントもそうでない樹もバサバサと倒れる。
大漁だな。
借金返済が遠くない。
生きているトレントを前にして。
「【ローン】スピード10倍からの【肩代わり】ありがとう。死ね! 疾風よ刃となりて襲い掛かれ、ウインドカッター」
駄目だ魔力が完全に戻ってないから、魔法の威力が低い。
「ステータス」
――――――――――――――
名前:アカジ LV23
魔力:26 返済中
筋力:41
防御:19
知力:62
器用:72
瞬発:27
スキル:ローン LV5
――――――――――――――
スピードを肩代わりさせたから、2分間、木偶の棒なのは良いけど、要改造って所か。
スピードをもっと肩代わりさせれば、安全の時間が増える。
よしそれでいこう。
「【ローン】スピード1000倍からの【肩代わり】ありがとう。死ね! 疾風よ刃となりて襲い掛かれ、ウインドカッター」
よし、これは隙のない攻撃だ。
超スピード肩代わり攻撃を避けられるものなら避けてみろ。
まずは木偶の棒になったこいつを片付けるか。
「疾風よ刃となりて襲い掛かれ、ウインドカッター。ありゃ魔力切れ……」
目が覚めるとトレントの姿はどこにもなく、冒険者の姿も居なくなっていた。
あれっ、俺が倒した大量のトレントは?
ちくしょう、やられた。
持ってかれた。
魔力返済中に魔法を使うのは危険だな。
今回の反省点はそれだ。
仕方ないので借りて来た収納バッグにトレント以外の木を入れる。
まあ、晩飯代ぐらいにはなるだろ。
おっ、ゴブリンの群れがいる。
群れの規模は3000匹ってところだな。
見渡す限りのゴブリンだ。
なんでこんなに湧いて出たんだろう。
まあいいか。
「八つ当たりさせてもらう。【ローン】スピード1000倍からの【肩代わり】」
へへっ、これで三時間、木偶の棒だ。
後はこれを繰り返すだけだ。
群れが全て木偶の棒になったぞ。
「ひゃっはぁー、無双ゲームの始まりだ」
俺は剣を使いゴブリンの群れを蹴散らした。
「ステータス」
――――――――――――――
名前:アカジ LV26
魔力:60
筋力:42
防御:20
知力:64
器用:74
瞬発:27
スキル:ローン LV6
――――――――――――――
おー、レベルが3つとスキルレベルが上がっている。
どれどれ、新しい機能は。
――――――――――――――
ローン LV6
十秒間、力を借り入れる事が出来る。
十秒間が終わると返済に移行する。
レベル6では6種類。
サブスキル:
肩代わり
連帯保証
破産
――――――――――――――
一挙にサブスキルが増えたな。
――――――――――――――
連帯保証
破産した時に返済を肩代わりさせる。
爪印を押す事で発動。
肩代わりできる量は寿命によって違う。
――――――――――――――
一生分の返済を背負わせるって事ね。
――――――――――――――
破産
返済をなかった事に出来る。
連帯保証が足りなかった場合は死亡する。
――――――――――――――
おいおい、借金を清算できなかったら死ぬのかよ。
おっそろしいスキルだな。
考えてみたら、連帯保証は複数でも良いって事だよな。
ならゴブリンあたりに連帯保証人になってもらうか。
それに強敵が出てきたら連帯保証攻撃をぶちかませばいい。
ドラゴンあたりなら一億人分の返済だって余裕だろう。
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