09話.[怒ろうと決めた]
「は? 純華と付き合い始めた?」
「うん」
姉がいないのをいいことに母に言わせてもらった。
姉は同情で私を受け入れてくれたようなもの、頑張らなければならない。
「え、ちょ、いつからなの?」
「1月6日ぐらいから」
「今日は?」
「2月6日」
「もっと早く言いなさいよ!」
し、仕方がない、勇気が出なかったのだ。
姉と楽しそうな雰囲気を作っている母に言えなかった。
でも、それではいけないということで今日頑張ろうとしているのだ。
「なんで家族に……」
「いまだから言うけど、お姉ちゃんは女の子が好きだったの」
「仮にそうでも他所の子を好きになればいいじゃない……」
「……やっぱりだめ?」
「うーん、難しいわね」
言わない方が良かったのだろうか。
私としては付き合ったからには長くこの関係でいたいと思うけど。
姉はあれなのだろうか、いつかは別れて他のところに行くつもりだったから母に言おうとしなかったのだろうか。
「変なことしていないわよね?」
「変なこと?」
「うっ……、それはあれよ、えっと……」
母にしては珍しい反応だった。
「キス?」
「そうよっ、そういうことよっ」
「したよ?」
「はあ!? はぁ……」
ま、受け入れられるわけがないか。
それでも、謝罪をしつつも別れるつもりはないとはっきり言って部屋に逃げてきた。
それから夕方頃まで不貞腐れていたものの、ご飯の時間になって強制的に下りる羽目に。
「いた――」
「待ちなさい」
手を優しく掴まれて動かすことは叶わず。
言わない方が良かっただろうか。
こういうところも考えなしなのだろうか。
「純華のことが好きなのね?」
「うん、大好き」
「……それならいいわ、後で純華にもきちんと聞くけれど」
「食べてもいい?」
「ええ、食べましょうか」
というか、姉はなにをしているのだろうか。
お休みだったからって私をほっぽって遊びに行くのは如何なものか……。
後でちゃんと怒ろうと決めた。
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