第2章 不思議な旅 第10話 天国への階段

その階段はどこまでも続くように思えるエスカレーター式だった。

周囲には青空が広がり、右側は壁に取り付けられていた。


・・・、壁?!


共に上昇する、同じ信仰をもつ方々は嬉々として、

そのハリボテ感を気にも留めず目指すところを心待ちにしている。


何か違う・・・。


胸騒ぎから、皆を残し先に駆け上がると、目指していたであろう踊場おどりばに着く。

左手には、まだまだ行き先が見えない階段は続き、

右側にお目当ての祭壇室さいだんしつが設けてある。


違和感いわかんは、解放されたその部屋の前からも感じ取れ、

祭壇と思しきその場所には黒焦げたような偶像ぐうぞう

5,6体ほど立てかけたり、ゴロゴロと転がっていたりした。


教祖の教えを信じ、信条にして真面目まじめに生きて来られた方々の

ご苦労を思うと忍びない、

教祖をしたうばかりに、そちらの方ばかり目がいき、その教祖が導き誘おうとしていた 

神という真理の存在はぼかされ、思いせることがない。


やっぱりこんなことかと思い至り、目指す先に心ひかれながらも、

こっちじゃなかったよと声掛けしようと、部屋を出たところで目が覚める。


こんなゆめをみた、というだけのお話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る