夜明け前

第2章 不思議な旅 第11話 なんじゃもんじゃ

一度（いちど）ならず二度（にど）までも春の連休前に発令された、３度目の緊急事態宣言（きんきゅうじたいせんげん）は

局地的（きょくちてき）で都市部（としぶ）の４都府県（とふけん）が対象（たいしょう）だった。

それは５６７対策だけなのだろうか。

東京都は午後８時以降、街灯以外の消灯を要請する苦肉（クにく）の策。

空襲でもあるの・・・。

皆が十分（じゅうぶん）納得する結果は、連休明け十一（とういつ）の日までで得られるのだろうか。

「なんじゃこりゃ」

その頃は不可解（ふかかい）なニュースがよく散見（さんけん）された。

その背景を陰謀論的（いんぼうろんてき）につなぎ合わせると納得（なっとく）がいくというのも不可解だった。

連休中は増大した軍事費（ぐんじひ）で、世界でもいろんなイベントが催（もよお）されるご様子。

グローバリストとナショナリストの少し早目の五月場所（ごがつばしょ）は特に注目を引く

一大イベントになる雰囲気（ふんいき）があった。

アメリカ政府の表明や、カナダ議会等に続き、イギリス議会でも

ウイグルに対するジェノサイドの動議（どうぎ）が可決（かけつ）し、

世論でも中国共産党の包囲網（ほういもう）を作りつつあるようだった。

㈱アメリカ代表は一世紀前のアルメニア人・・をジェノサイドと表明。

ウクライナでは、国境付近クリミア半島でロシア大軍が軍事演習後（ぐんじえんしゅうご）

５月１日までに撤収予定（てっしゅうよてい）。

火種（ひだね）は黒海（こっかい）周辺でも燻（くすぶ）りだしている様子。

中東でもイスラエルとイランとの張り手の応酬（おうしゅう）は止みそうもなく、

世界の東と西にかけて両陣営（りょうじんえい）の取っ組み合いは千秋楽（せんしゅうらく）の結果が待たれた。

そんな中、我が国は観客に徹していられるかの保証はなく、

グローバル・ブリテン政府からは“また同盟”を打診されるも、

ファンド会社からは、寄り切りを仕掛けられたインフラと国防を支える

国策企業の身売りが取り沙汰され、苦杯（くはい）を喫（きっ）した半導体業界（はんどうたいぎょうかい）では、

やろうと思えば共産党を援護（えんご）もできる横綱（よこづな）台湾企業が

供給（きょうきゅう）をコントロールできる位置（いち）で、自動車（じどうしゃ）やその他の産業（さんぎょう）に

突（つ）き落としを仕掛けるのか、超限定戦（ちょうげんていせん）の臭いがしていた。

二枚目でセクシーな大臣の目は酷民（こくみん）を映（うつ）さず、

横綱の座は睨（にら）んでいるようにも見え、

誰に合図を送り、誰の意向（いこう）を代弁（だいべん）するのか、

格好良（かっこよ）く世界に向けて英語でつぶやきだす。

ビニール袋で、国民に猫（ねこ）だましを喰（く）らわせ、スプーンでもう一発。

おまけに義務化で押し出そうとする太陽光発電（たいようこうはつでん）の素材製造元はウイグル。

小（こ）　手先（てさき）の取組みでは、観衆（かんしゅう）は湧（わ）かない、

立ち合い激（はげ）しくぶつかり合ってこそ注目するというもの。

物言（ものい）いがついていた先のアメリカ大統領選挙（だいとうりょうせんきょ）場所（ばしょ）、

アリゾナ州では再集計（さいしゅうけい）の土俵（どひょう）会場（かいじょう）に

生中継（なまちゅうけい）のカメラが数台（すうだい）設置（せっち）され、

「はっけよい」の合図（あいず）が待たれる。

審議（しんぎ）を長引かせようと民主党側からは弁護士団（べんごしだん）が送り込まれるが、

その異様な必死さが事実を物語り、すでに真偽（しんぎ）が見えてくるようだ。

「すったもんだ」があった後、次の独立（どくりつ）記念日（きねんび）のお祝いは盛大（せいだい）なことだろう。

イスラエル考古学庁（こうこがくちょう）が新（あら）たに発見した？と発表した「死海写本（しかいしゃほん）」、

その中の文言（もんごん）には、「完全（かんぜん）な正義（せいぎ）を尽（つ）くせ」。

作戦命令（さくせんめいれい）？！・・・。

ジェノサイドだけは勘弁（かんべん）して欲しい。

スエズ運河（うんが）で見合った各陣営（かくじんえい）の取組（とりく）み結果（けっか）は、

千秋楽（せんしゅうらく）が待ちきれず、分かる人には分かる様相（ようそう）を呈（てい）しながらも、

アリゾナでの一選（いっせん）が口火（くちび）となり、大惨事（だいさんじ）の導火線（どうかせん）になるのだろうか。

「サラエボでオーストリアの皇太子（こうたいし）が、セルビアの青年（せいねん）に・・・」、

オーストラリアとオーストリアを混同（こんどう）し、ヨーロッパは国の名前くらいに

思えていた中学の頃、歴史の試験前は往生（おうじょう）した。

国境（こっきょう）が無くなった未来の子供たちには、歴史の授業を好きになってもらいたい。

ドイツでロックダウンの抗議（こうぎ）デモが行進（こうしん）し足音（あしおと）が鳴（な）り響（ひび）く頃（ころ）、

日本ではノーマスクピクニックが出鼻（でばな）をくじかれ、

青空（あおぞら）のもとでは、なんじゃもんじゃの樹（き）が盛（さか）りだして、人の笑（わら）い声（こえ）を待っていた。