第2章 不思議な旅 第5話 天と地

八方塞がりの世に救いはあるのか。


動けない時にはその地に立ち止まり、天を仰ぐ。


自分が何を願っていたのかを思い出した時に天地繋がり、

希望を宿したその二方が芯棒と成り、時がまた動き出すだろう。


そして自らの内に見出したその希望を羅針盤とし、八方へと「心のふね」を漕いで、

新しく世界を造り直せばいい。


人が救いを求め願い、また歩き始めた時、その人自身が救いとなり

周りに新しい世界を示すだろう。


閉塞した空気が漂うこの時代は、人々の目覚めを渇望していた。


「求めよ、さらば与えられん」、 求めなければ、天も施しようがない。

 

人は見るもの聞くものによって、心の置き所が変わってくる。

美しい花に憧れる人は、その心の内に似たものを持つのだろう。

自分が求めるものを知っている人は、その地へと、きっとたどり着けるだろう。


想うことどもが実現しやすい時代、想念が大事である。

その想いが強いほど、言葉は力を増し、行動をひき起こす。


「願いを叶えてやろう」


もし、そんな場面に出くわしたら、うまく伝えられるだろうか。

日頃の訓練が大事に思えてきた。

日々、念願し続けぼちぼちと歩いていたなら、約束の地は案外近所に

現れるのかもしれない。


天国がこの地に現れた時、それは、いつも心の内にあったものと同じだろう。


「これからどんな時代になるのでしょうか?」


そんな疑問を若い頃、お酒の席で歴史学者にぶつけたことがある。


「それはあなた方が決めることだろう」


ぶつけ返された三個の拳骨より、その言葉の方が頭に衝撃を与えた。


いつの世でも、「未来は今、造られている」、それぞれの胸の内で。


願いが共通し広がった時、古き物は崩れ、新しきものが顔を表す。


破壊の裏に創造はある。


新時代の黎明期に気付きだした者は、真実を胸に留められず叫びだすだろう。

始めは受け入れ難く、「呑込みにくい」その一石も、やがて波紋と広がろう。

時にそれは、人々の価値観を壊し、今までにない尺度を創りだす。

 

その真実を共有したとき、それが新しい世の常識となる。

 

何を望むか、今一度 胸に問う。


「求めよ、さらば与えられん」


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