第1章 出立 第3話 詐欺師と先触れの者達
「戦争と薬剤」、それが経済の大方を成り立たせていた世界だったのかも知れない。
どちらも生命を脅かしていた。
特に薬剤は気付かぬうちに徐々に蝕む詐欺師だった。
一方の戦争もこの時代には暴漢から詐欺師へと成りを変えて、暗躍していた。
人々はただ感染恐怖症に陥っただけで、それがショックドクトリンを醸し出す
生物兵器の影響と気付く者は、頭がおかしい扱いを受ける「先触れの者達」くらいで、宇宙兵器での各個撃破、サイバー戦争は繰り返され、人類の命運を分ける
世界大戦の真っただ中にいることなど思いにもかけなかった。
経済難に苛みながらも、大難を小難に化した神の恩寵か、直接に命を奪われる
怯えはなく、安穏とした暮らしはあった。
先触れの者達は、それぞれの気付きを発信し、その波紋が次の時代の潮流を
生み出そうとしていた。
彼らが、頭がおかしい扱いを受けなくなり始めたのは、新生アメリカ共和国
初代大統領が選任され、世界市民に驚きと喜びを与えた頃からだっただろうか。
皆が気付き始めた。
命を削るようにアクセクと働いていたのが、奴隷の日々だったということに。
新しく生まれ変わった国が打ち出した経済政策は、権力者から取り返していた
不当に彼らの手にあった私たちの大きな財産を担保に、人々の暮らしを徐々に
豊かにし始めた。
通称「NESARA/GESARA」
もちろん、その政策は他国にも受け入れられ、その後の10年間程は悲喜こもごも、生みの苦しみを伴いながらも、希望が、鈍重で未熟な人類の精神をも何層も上段へと引き上げた。
2026年、百年越しの「二十一世紀」の預言通り、
人類は理想郷を迎えることとなる。
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