8 お互い全く大丈夫じゃねえ!

 あの……俺の解釈違いじゃなかったら、家に誰もいないから家に来ませんか? って言われている気がするんだけど。


 ……いや絶対言われてるんだけど!?


 駄目だって雪宮さんそういうの!

 冷静に考えてくれ!

 俺達今日まで殆どまともに会話してなくて、今日も殆どしてないわけですよ!

 そんな男子を家に入れちゃ駄目だってマジで! 俺別に家行っても変な事何もしねえけど!


 いや、ほんとに一体どんな思考回路してたらそんな提案が出てくるんだよ。


 そう考えながら、思わず超能力を発動させた。

 色々と超能力を使いたくないそれっぽい理由を並べていたけど、これは使ってしまう。

 申し訳ないけど……あまりにもぶっ飛び過ぎてこれは我慢できない。


 そして再び雪宮さんの思考が流れ込んでくる。


『…………何言ってんの私!?』


 ほんとだよ!


『ほら、榊君固まっちゃってるよ……』


 そりゃ困惑の一つや二つしますって。


『今会話が成立した勢いで誘わないと平行線だって思ったけど……思ったけど! いきなり家に呼ぶのは勢い付け過ぎたって、図書館とか喫茶店とかでいいじゃん私の馬鹿ああああああああああッ!』


 本当にとんでもねえ勢いだよ!

 あとその心情と言動の勢いで一切表情変わって無いのやっぱりすげえよギャップが!

 まあそれは可愛いのでよし!


 そんな事より……えーっと、どうしよう?


『凄い恥ずかしいし、いきなり家に男子連れ込むヤベー女って思われてない私!? やだ榊君にそんな変な嫌われ方したくない!』


 雪宮さん無表情のまま羞恥心と後悔で死にそうになってるんだけど……どうする?


 そのまま雪宮さんに乗っかるか?

 というかせめて乗っからないと、雪宮さんに凄いダメージが入る気がするぞ?

 いきなり家に男子連れ込むヤベー女だと思ってるって認識されちゃう気がするぞ?


 だから……あんまりがっついて見えない程度にそれとなく。


「えーっと……じゃあ雪宮の家でって事で……大丈夫?」


 拒否もせず、そして適度な食い付き感を出してみる。

 ほら、俺も殆ど面識のない女子の家にノリノリで行くような奴だとは思われたくないし。


「……大丈夫」


『さ、榊君優しいから来てくれるっぽいけど、内心ドン引きしたりしてないかなぁ! 全然大丈夫じゃないきがするんだけど!?』


 えっと……本当に大丈夫?

 色んな意味で。



 とまあ、そんな訳で俺達は雪宮の家へと移動して勉強会をする事になった。

 ちなみにだけど俺は何も大丈夫じゃない。


 好きな女の子の家(ご家族不在)に突然行く事になって、大丈夫な訳が無い。


 …………いや、ほんと、緊張と幸福感で死にそうなんだけど。

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