スタンフォード・アリアとしての世界観を見せてあげるわ!!


第3皇女~スタンフォード・アリア~@Aria₋Stanford


下民ども、ごきげんよう♡


初配信は楽天堂から発売されているあの名作をプレイするわ★


 


https://www.youtube.com/watch?v=wdsVV


 


♲3     ❤10


 


 


私の初配信は楽天堂から発売されているマリモ64を行う。


―――今まで2Dであったマリモが初めて3Dになり、アクション性が格段に上がった名作である。ちなみにアクション性の高さや人口が多いため、RTAなども盛んに行われている。


 


まぁ~、私はプレイしたことがあるが。


なんとかピンキー姫を救えたところまでプレイしており、完全にやりこんでいない。


でも、このゲームで一時間話せる自信はあった。


だから、小さい頃の私が苦戦しながら攻略したステージで遊べると思うとワクワクしている。


 


実際、底辺Vの初配信で視聴者が来るとは思えないが、仮想の自分を演じながらあの名作をプレイできるだけでも楽しいと思える。


 


楽しいという思いが先行しつつ、配信を開始した。


 


――――――――――――


 


「おっほほほ、ごきげんよう。ロングケープアイランド王国の第3皇女~スタンフォード・アリア~ですわ。下民どもと過去の名作をプレイさせてもらうわ。ちなみに、その時生まれていないから初見プレイしてきますわよ。」


 


リアルで憧れていた傲慢のロリ系お嬢様に成り切っており、正直気持ちよくなっている。


―――今の私は、


認知症の高齢者にへこへこしない弱い私ではないし


米をうまい棒でかけて食べる貧乏な私でもない。


 


こんな解放感は自分しか味わえないだろう。


なぜなら、底辺Vであるから視聴者は0人で見てくれる人がいないからだ。


がっかりしながらコメント欄を覗くと


 


水饅頭:生歌とツイッターしか見れていないけど、こんな素晴らしい声をなさっているんですね。アリアお嬢様~


 


あの有名な私の追っかけファンである水饅頭さんのコメントが1つ湧いているのである。


コメント数ゼロを想定していた私にとってうれしさでのたうち回れる。


 


しかも、声に関してのお褒めのコメントであり


声と演技高額なお金3か月間払って磨いたことが初めて報われた気がして。


涙が出そう。


「水饅頭よ。わたくしがツイッターで初配信を行うと告知したのに、配信開始前からコメントがないのは何事か。」


 


ずっと追いかけてくれた水饅頭さんのために、


沈黙を破ってくれたコメントに対してわがまま皇女を演じる私は罵った。


特殊な性癖にターゲットをしぼった配信者としての唯一無二のファンサービスである。


 


 


水饅頭さんごめんね。


私さ、演技の才能はないから。


うまくできないと思うんだ。


でも、必死に追いかけてくれた水饅頭さんのために演じ切ってみせるから。


 


わざわざ来ていただいた水饅頭さんに感謝と謝罪の気持ちが織り交ざってしまい、


いつもの弱い自分が出てきた。


忘れたかった自分がなんで出てきたんだよ!!


Vになって弱い自分を捨てたいんでしょう。


と弱弱しい自分をアリアは否定しているようだ。


 


―――いや、この態度こそ失礼だ。


気が弱い自分じゃなくて、高貴でわがままなアリアに期待してくれているんだ。


 


自分の中で熱い思いが全身に回り、脳内のスイッチが切り替わったような音が聞こえた。


弱い自分が完全に消えきって、アリアの魂に転生したような感覚になった。


スタンフォード・アリアとしての世界観を見せてあげるわ!!


 


この時からスタンフォード・アリアは私に憑依し、私の魂は肉体の近くで配信を見持っている。


 


 


水饅頭:アリア皇女申し訳ないです。次は早く来ますから。


 


 


「本来なら極刑だけど。いいわ。それよりゲームをしましょう。」


アリアは配信の進行を気にして怒る気にもならないのだろう。


これ以上いじってもグダグダになるだけと察し、ゲームをすぐに開始したようだ。


 


ゲームの起動音、マリモがピンキー城に向かう姿、子守唄のような穏やかなBGMは懐古厨である私の涙腺にくる。


アリアはこのゲームの発売日の10年前に生まれており触れる機会はない。


だから、アリアは初見プレイである事実が正しいのだ。


アリアでは懐かしむことができないことは、懐古厨であるもう一人の私にとってきついお仕置きだ。


また、魂の私が憑依してしまいそうで怖い。


 


 


ようやく操作できるようになっており、ピンキー城へとマリモは走っている。


 


「このお城は、以前住んでいた所みたいね。懐かしいわ。」


アリアは、懐かしむようにしみじみしながら言った。


魂である私の懐古心を紛らわすためにわけの分からない設定を投げるようにアリアに指示を出している。


こうでもしないと、懐古厨の私が暴走しそうで怖いからだ。


 


 


水饅頭:アリア皇女はやはりお金持ちなんですね。


 


 


「そうでもないわよ。おほほほほほ。城の2つくらい。当り前ですわ。」


お嬢様が庶民に自慢する嫌味な笑いをアリアは行った。


アリアちゃんの魅力を引き出すためにその笑い声の練習は1日20回はやっている。


――まるで、教育熱心な親みたい。


アリアちゃんのその嫌味な自慢は、魂である自分にもぶっささるわけだ。


 


魂である私の住んでいるところは・・・


坂と階段しかない長崎県のとあるど田舎の中にあり、


長い坂を上った後、路地裏を入り込んで階段40段上った所にあるアパート


―――月4万の激安ボロアパート


お城とは、正反対の所に住んでいるわけだ・・・


 


 


ゲームは進んでおり、マリモは城の扉を開いた。


「ここから伝説の開始ね。」


アリアは堂々と言っており、何かを伝説を残そうと奮起しているのだろう。


 


アリアちゃんと私にとって初配信であり、これから新しい幕開けだ。


だから、胸が躍る気持ちとずっと続けられるのであろうかと不安の気持ちが交ざっており、凄く複雑な気持ちになっている。


 


―――城に入った瞬間。


ピンキー姫はゴンザレスというカメ型怪獣にどうやら攫われたといつもの流れを執事に説明された。


 


「毎回、さらわれてるなんて。お粗末なセキュリティーなの?私の兵士を10人くらい渡しましょうか?」


 


アリアは見下した笑いを出しながら、いつもの流れにツッコミを入れていた


 


魂である私は気が弱くて、こんな上の身分の人にこんなツッコミはできない。


アリアちゃんはやっぱりすごいわ。


 


 


水饅頭:ツッコミが面白すぎて草です。


玉ねぎ戦士:見下すモーションが凄すぎて草なんだ。


 


 


アリアはこのツッコミが滑るのではないかと少し不安に思っているが、うけたみたいでうれしかったようだ。


 


「ふふん~、城の中を探索よ。」


ツッコミをほめられたことにアリアの声から喜んでいることは、魂である私も分かる。


親心からか、魂の私もうれしいです。


 


設定ではアリアは初見プレイなので、城の中を探索させていた。


―――アリアちゃんに早くステージを見せたいという気持ちは抑えている。


全てが懐かしい風景で魂の私は心が震えており、魂が暴走してしまい懐古話が出そうで怖い。


 


アリアは城を探索していると。


ところどころ入れない扉があり、それらの扉を開くにはパワーストーンが必要だと分かった。


 


「なるほど。パワーストーンを集めないと扉が開かないのね。唯一手掛かりがありそうな部屋と言ったら、ここしかないね。」


考え込みながらアリアは、緑の葉っぱが生い茂る山が書かれている大きな絵画が1枚ある部屋に入った。


 


絵画からステージに行けるわけだが、アリアちゃんがどんな反応をとるかは楽しみである。


 


魂である私の予想通り、ゲーム的に最も怪しそうな絵画に考え込みながら近づいていた。


 


アリアの操作するマリモが違づくことにより絵画の表面が波紋を起きたように動いた。


まるで異世界へ誘っているようで、ワクワク感が半端ない。


 


「えっ、なにこれ。凄いわ。まるで魔法の世界ね。」


アリアは初めての光景で期待通り驚いた。


 


 


水饅頭:ここの絵の揺らぎは興奮するよね。まるで異世界転移するみたいだもんね。


にゃんにゃん丸:最初は、ここで感動するんだよね


 


 


視聴者の皆様もここで興奮したみたいだ。


魂である私と話が合いそうで、私も少しにっこりしている。


 


「絵に飛び込めってことなの?


絵の中の世界にいくって面白いわ!!


早速行かせていただくわ。」


子どものように目を輝かせてながらアリアは絵の中に飛び込んでいった。


 


絵画に入った瞬間


―――緑が生い茂っており、小鳥たちが歌っているのどかな山の中にマリモは存在していた。


 


「すごい。これが現代風の転移魔法を受けた感じね。噂に聞いていたけど、ゲームって素晴らしいわ。」


アリアは初めての体験に、宝石のように目を輝かしており胸躍っていた。


 


 


にゃんにゃん丸:転移魔法か。面白いなw


水饅頭: アリア様のプレイを見ていると、初見の気持ちを思い出せていいですね。


 


 


本当に転移魔法っていうVも珍しいね。


設定を遵守する系のVはいないし、珍しがるのも分かるわ。


ただ、アリアちゃんの場合は設定とか言いたくないのだけど・・・


―――アリアちゃんは目の前にいるのだから。


 


山の頂上にいるボールキングが山を支配しているとNPCから情報をもらい、山を登っていった。


最初のステージともあり、敵キャラは一度踏めば倒せるし激しい攻撃はしてこないし、目立ったギミックもみられていない。


正直言って、初見でも楽勝な山登りである。


 


「さすがに、最初のステージね。簡単すぎて、ピクニックとほとんど同じね。ここは、軽快なbgmでも楽しみながら登りましょう。」


さくさくプレイにご満悦なアリアは黙々と山を登っていった。


 


たくわん:ここの音楽好きだわ。


水饅頭:すごいですね。ここまでノーミスじゃないですか。


 


ここの視聴者はアンチコメントを一つも打たずに、黙々と見守ってくれてありがたい。


少ししかコメントはないけど、アリアちゃんもうれしいんじゃないのかな。


 


そうこうしているうちに、黒い球に短い手足がついているボールキングが支配している山頂にたどり着いた。


 


「おやおや、山頂にたどり着いたみたいだね。


背中以外は無敵であり、どんな攻撃を受け止められるぞ」


ボールキングが偉そうに言っているが、弱点は丸出しである。


 


「おほほほほ、弱点を丸出しね。ここはサクッとクリアしてきましょう。」


 


にゃんにゃん丸:弱点丸出しで草


水饅頭:アリア様やっちゃいましょう。


 


アリアは簡単に背後に回り、攻撃を行った。


そして、最初のボスということもあり、すぐに撃破した。


 


「ごめん、パワーストーン1枚しか取れていないけど、初配信で疲れちゃった。だから、配信をやめるね。」


疲れ切ったアリアは配信を切ってしまった。


 


 


たくわん:お疲れ様です


水饅頭:次も楽しみにしています。 お疲れ様です。


にゃんにゃん丸:お疲れ様~~


 


 


配信が終わったせいか。


アリアちゃんはここにおらず、気が弱い私はここにいる。


私は、アリアちゃんの状態を整理している。


 


ゲームはサクサクと進んでいるが30分ほど時間はかかっており、初配信でいろんな刺激が多くアリアちゃんにとってきつい物だ。


刺激の中で一番つらいのはコメント対応だろう。


―――コメントを拾う集中力・この場を盛り上げる判断能力が必要。


アリアちゃんは声真似配信を3年続けてきた私よりうまく視聴者とやり取りができており、初配信でここまでやり切れるのは素晴らしいことだ。


つまり、私のマネジメントがしっかりすれば大物配信者になれる逸材だと思う。


 


もちろん、常時接続者数5人と少ない過疎配信の結果を見てもその結論は変わらない。


 

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