3話
「入るよ~。部屋汚ッ!」
入ってきたのは、三嶋リリ。
NTSの若き怪獣研究員であり、ミニチュア化した怪獣たちの飼育員兼インスタ担当。マサトの幼なじみだ。
「何の用だ。学校行け」
「それはこっちのセリフ! 私は怪獣飼育の国家資格があるから行く必要ないの!」
「俺もヒーローだから、行く必要ないんだ」
「ヒーロー? 昼間からゲームして、スナック食べて、少しは鍛えたらどうなの?」
「どこを鍛えんだよ」
マサトがシャツをめくる。ちらっと見えた腹筋はバキバキだ。
「それに、いつまでこの施設にいられるか分からないんだから、何かしら資格をとらないと。あなたのお父さんだって、東大よ」
「東大なんて誰でも行けんだよ」
マサトはそう言って、床に落ちていた紙ヒコーキをリリに飛ばした。リリが開く。
東京大学 S判定 全教科平均197点
「チッ。ムカつくわ、ほんと」
「で、何の用だ」
「プーチャカ見なかった?」
「プーチャカ?」
「そう。逃げちゃったのよ……」
リリは気づいた。壁が一部めり込んでいることに。その下に落ちている物体に。
「プーチャカ!」
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