第三話 私の出会い
「ピピピピッ!ピピピピッ!」
そんな甲高いタイマーの音を聞いて私は、ベットから出た。
昨日始めてあった男子に名前を聞かれて、返したあと、ニッコリされてしまったときは、こっちも思わず笑ってしまった。
同い年男子に話しかけられる、ことが久しぶりな私にとっては、少し嬉しい出来事だった。小学校の時、いじめが原因で不登校になっていた私は、違う土地での中学校生活を始めた。最初は不安だったけど、この世の中でも、優しい人がいるんだなと思って、少し、感動してしまった。
朝、居間にいる自分のペットに挨拶したあと、一人でご飯を食べた。親は両方単身赴任、兄弟は全員成人していて、東京で働いている。この大きな家にいるのは、私、
神崎友梨佳、ただ一人だけだった。
私は生まれたときから、あまり人が好きではなかった。好きなものは、動物と、音楽だけだった。その事があって、小学校にいたとき、人と話さないから、クラスの中で、「冷たいお人形」なんて言われた。クラスの女子から殴られたり、男子から雑巾の入っていたバケツの水を被せられたり。私にだけそんなことをしてきたので、私は、もっと人が嫌いになった。顔も見たくないと思ったのは、小5から。それ以来、ずっと家に引きこもるようになった。
そんな中、私は、ネットで、ある曲のドラムカバーの動画を見た。最初はなんだろうと思ってその動画を見たが、視聴し始めた瞬間、全身に鳥肌が立った。とても激しく刻むリズム。自分の感情を熱くして、何か伝えようとしているようなその姿。
私は、ドラムにハマってしまったのだ。そして、小学校を卒業するとき、中学校で、吹奏楽か軽音楽部に入って、ドラムをしようと決めた。そのことを両親に伝えると、父親の地元に引っ越すことになった。
その地元が、今私が通っている中学校があるところである。私が通っている中学校には、ドラムができる部活が吹奏楽部しかなかった。私は、ドラム以外のパーカッションのについての知識が皆無だったが、吹奏楽部への入部を決意した。
そして、今日は入部届を顧問の先生に提出する。学級の時間にもらった入部届の紙に、自分の名前を書いて、放課後、顧問の先生のところへ行った。
「あれ、君って...」
突然後ろから声をかけられた。そして、後ろを振り向くと、昨日あった男子に出会った。そう私のクラスメートの、大宮凜華だ。
「こんにちは、大宮くん。あなたも、なにか用事でもあるの?」
「そうだよ、僕は顧問の先生に、これを提出しに来たんだ。」
そう言って私に見せたのは、大宮くんの名前が書かれた入部届であった。
「で、神崎さんはなにをしにきたの?」
「私も君と同じよ。どうせなら、一緒に提出しに行きましょ。」
「そうだね、じゃぁ」
「ねぇねぇ、そこの二人、もしかして大宮くんと神崎さん?」
後ろからまた声をかけられた。後ろを振り向くと、そこにはクラスメートの下沢花子さんがいた。
「下沢さんもいたんですね。下沢さんも、入部届を提出に来たんですか?」
私がそう言うと、下沢さんは首を縦に振った。
「花子さんも来たんだね。じゃあ、三人で提出しようか。」
そう大宮くんが言うと、私達は、顧問の先生がいる教室に入った。
顧問の先生に提出し終えると、私達は、玄関に行った。私達三人は、吹奏楽について話したあと、その場で別れた。下校しながら、帰ったら宿題もそうだけど、パーカについて調べなきゃと思っていた。その時、
「あれ、そこにいるのって、もしかして神崎か?」
聞きたくもない声を聞いた。私も前には、小学校の頃の同級生の女子がいた。
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