第27話・早くて長い

6日目。

オレたちは、くらくらするほどの数の写真を漁っていた。

実のところ、まだ夏休みの前半なのに、オレは写真探しに飽きてしまっていた。

「ふぅ…、」

写真に色はないけど、なんとなく写真を撮った当時の景色が思い浮かぶ。

集合写真や、なんでもない日常風景を収めた写真、山からの景色を収めた写真……、と、キリがない。

万年筆を写したものもある。美術に興味がないオレからしたら、ペンなんか撮って何がおもしれーんだ、なんて思うけど、撮った本人は何かを思って撮ったんだろうなあ、なんて思考が脱線し始めたり。

退屈から、逆に色んな写真を見られる楽しみに変わっていった。

(次の写真は〜っと)



オレが手に取ったその写真は、やけに光っていた。勿論、物理的に光っているわけではない。多分、オレにとって“ものだった。本当に些細な写真で、学校の集合写真、と言うには年齢層が様々だと思うもの。

真ん中に、ムカつく無造作ヘアーの__オレもよく知る、恵翔けいとと思われる人物が照れ臭そうに微笑んでいる。不思議と、色のない写真のはずなのに、色が見える…ように見えたのは、きっと疲れていたからかもしれない。

髪型こそは今と違うものの、アイツだった。一度少し遠くで写真を漁っている“今の”恵翔けいとと写真を見比べ、また写真へ視線を落とす。

もう一度見ると、恵翔けいとの周りに並ぶ人は年齢がバラバラに見える。前の方は幼稚園児から小学生くらいの子供がいて、横にもちらほらと小学生がいたり、中学生、?もいる。大人もいるし、高齢者の方もいる。

集合写真と言うには、どこの?と尋ねたくなる写真。思わず見入ってしまっていたことに気が付き、恵翔けいととエリーを呼ぶ。

「二人ともーっ!!!」


『はいはい、そんな大声で呼ばなくても聴こえていますよ。』

床に散乱する写真や資料を慎重に避けながら来た二人に、オレは自慢の意を込めて見つけた写真を見せつける。

「沢山の方がいらっしゃいますわね。」

「だろ?…じゃなくて!!よく見てよく見て!ほら、この真ん中のヒト…」

そう言って写真を指すとエリーの顔がぱぁぁっと明るくなる。

『あ。それ、近所か何処かで撮ったヤツ…。』

「おぉ♪オレの根性が勝った…!!」

「あとは場所の特定ですわね。この町で撮影したのなら、特定は幾分か楽ですし…。」

うんうん、と互いを見合って、オレらは声を揃えて____

「「『まずは、片付けだな(ですね)(ですわね)…!』」」

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君のいるセカイ 汀桜 @arisu_sora

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