第26話・星になる

「なあ、けい、見ろよ…。星空って、すげーんだな。

なんか……

粉々に砕いた金平糖を目一杯散りばめたみたいだ…。」

『なんです、その例え。ロマンティックな発言の後にそれですか?

せめて“宝石を散りばめたみたい”って、さっきの空気を少しくらい引きずるべきです。だからアンタはモテないんです!』

思ったままの例えを口にすると、そうダメ出しされた。

「何がいけねーんだよ!いーだろ、別に!」

『ダメではないですけど、それじゃ女の子はときめかないですよ。多分。』

「お前もわかってねーじゃん!!」

何度か冗談を交わして笑い合い、急に静かになった。

あるのは、風の声や静かに主張する虫の声、風に揺れる草の声などの自然の声。図書館に来た初日みたいで、なんだか好きだと思う。


風や草はオレたちの心、


小さな虫たちはこの美しい星空。


そんな自分でも理解できない喩えが出来てしまったあたり、この星空についての物語か詩が書けてしまいそうだ。



「なあ……

成仏、したらさ……



おまえは星になるの………?」

__________そんなわけない

ってコトくらい、わかってる。頭では充分すぎるほどに理解してる。

「星になって……オレのコト、見ててくれるの…?」

『……残念ですけど、ないと思います。消えるのではないでしょうか。』

否定してくれるだけ、恵翔けいとは優しかった。

そうだ。恵翔けいとは優しい奴だ。オレを散々バカにするけど、それでも優しい奴だ。

『て言うか、星になってしまったら、暗くなる夜じゃないと……、

地球が明るい間は、眩しくて見えないですよ。だから、アンタが寝てる時しか見れないです。ね?』

そう戯けて笑う恵翔けいとの気遣いで、すっかり沈んでしまったオレの心は少しだけ紛れた気がした。

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