幕間・拝啓

拝啓

御主人兼わたくしの御父様

本日、わたくしは初めて御会いした紅華こうは君に、救って頂きました。

紅華こうは君は、わたくしのお友だちである、恵翔けいと君のお友だちです。今まで貴方との御約束に囚われる自分を“からっぽだと、貴方の大切なエリザベス様の成り損ないだとずっと罵っていました。そんなことをすれば、貴方が悲しいお気持ちになられると、理解はしていました。でも、貴方との御約束____御屋敷を守ることすらも満足に果たせず、図書館に変わってしまった今でも、この場所から離れたくないと思っている自分が不甲斐なくてどうしても。

そんなわたくしに、2人は「からっぽじゃない」と言ってくださいました。その上、失礼だと理解していますが

今まで縛られていたとばかり思っていたのに、この場所にずっといたのが貴方との“思い出”を大切にしているわたくし自身の意思だと教えてくださいました。

朽ちることのないこの身体を、貴方には申し訳ないのですが、きっと本当は嫌でした。でも、貴方や恵翔けいと君、紅華こうは君に出会えて、生きていてよかったと思えました。



______素敵な出会いをくれて、ありがとう。



______沢山の時間をくれて、ありがとう。



______造ってくれて、ありがとう。



______心をくれて、ありがとう。



______名前をくれて、ありがとう。






______愛してくれて、ありがとう。





貴方の子供で、人形で、




1番のお友だち

エリー

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