第21話・人形の涙

「その時に交わされた、御主人様とわたくしの最期さいごの約束です。

この図書館は元々、わたくしたちが暮らしていた、御屋敷なのです。



これが、わたくしの言う“呪縛”で“約束”なのです…。」

「………」

『エリー…、君は一度、俺に“ 中身はからっぽの人形なの、ごめんね。”って謝ってきましたよね。

覚えてますか、?

君は自分のことを“からっぽ”だと言う…。

でも____』


「『からっぽじゃなかった…。』」

オレと恵翔けいとの声が重なった。

「…え?」

驚いて目を見開くエリーに、オレたちは笑いかける。

からっぽなんかじゃねーじゃん!エリーはずっと持ち主の言いつけを守ってたんだろ?」

『口約束を守るって、脅されていたり、守らないとマズい理由があったりしますけど…君の場合、違うんでしょう?』

けい、言い方!もっと丁寧に言えや!もう…!」


『“もう”はエリーのセリフですよ。』

「へ?」

恵翔けいとを叱ろうとするオレを無視し、恵翔けいとはオレを軽く叩く。そのままオレが狼狽えていると、恵翔けいとは『空気を読め』とでも言いたげにエリーを見た。

「!!!!」

泣いてる。

「え?お、オレ!?オレが泣かした!?ごめん!オレ、なにしたかな!?え、エリー!?」

「…っ、あ……、いえ…、、」

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