第20話・絡繰人形の記憶

「…御主人様は……穏やかで…慈愛に満ちた、素敵な御方でした。」


エリーがゆっくりと口を開いた。1番に出たのは、持ち主の話だった。


「“彼”は幼い頃から御身体おからだが弱く、外出が難しかった為、交友関係も狭く…

“外の世界を知りたい”と言う思いでわたくしを造ったそうです。」











エリーの持ち主______“彼”は、かなり優れた魔術師だったそうだ。

ただ、身体が弱い“彼”は、外から情報を得ることはほぼ全くなく、

外の情報は、本で読む程度。ある日、大抵の子供には“友だち”がいると知った“彼”は、友だちに興味を持った。


ただ、それが“お金で買えない”こと、“魔術で作れない”ことを知り、彼は絶望した。




友だちはできなくとも、外の世界を知る術を、彼は研究したそうだ。






彼が生きている間は、彼に“世界”を伝え、そこで感じたことを彼に伝えることが、彼女エリーの使命。

で、彼女は出来る限りのことをした。

そのままエリーは、彼の従者としても生きることとなる。







しかし、彼の命はそう永くなかった。















突然、



エリーの主人が、

世界から離れてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る