第22話・本格始動

『涙、止まりました?』

「……ぁ………」

「エリー?ごめんな、泣かして。あのー……、なんで泣いたか、尋いていい?なにしたかわかってないから、また泣かせちゃうかも…、だから…」

オレ(とけい)がエリーを泣かして数分。涙は止まったみたいだけど、オレも恵翔けいとも、エリーを泣かしてしまった理由に心当たりが全くない。

泣かした事実は理解した。ただ、どの言葉で、態度で泣かせてしまったのかわからないから、オレと恵翔けいとの2人は本気で焦る。が、そんなのお構いなし。エリーは、前までの優しくて穏やかな微笑みとは違い、なにかポジティブな感情ものが溢れたようなで、「ありがとうございます……!!」

とお礼を言ってくる。

『“ありがとう”…??』

「なんだか……、吹っ切れた、ような…まだ、よくわからないけれど…。それでも…“ありがとう”、です…。…ッ、き、気をとりなおして!

恵翔けいと君についてですね!」

エリーが語り出す。恵翔けいととの出会いから、図書館での出来事。本当に些細なことばかり。役に立たないわけではないけど、夏休みという短期間では活かすことが難しい情報だ。


「……とまあ、このくらいです…。これ以上はもうなにも…。御役に立てる情報がなくて、すみません…………。」

「ううん!大丈夫!!聞けて良かったし、役に立ってるよ!」

オロオロするオレとエリーの空気を破って、恵翔けいとが声をあげた。

『エリー、奥に行っても?』

「……!写真ですね。勿論、どうぞ…。恵翔けいと君は先に写真を_______紅華こうは君はわたくしと一緒に来てくださいな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る