第9話・田舎

けい、お前どんなトコに住んでたんだ??周りにあった目印とか…、ねーのか??」

こうはどんなトコだと思いますか?』

「はぐらかすなよ。時間は限られてるんだから。ちゃんと答えろ。」

たかが1週間。

されど1週間。

短いはずの1週間で、オレはけいがふいに吐く冗談の一部は真に受けることなく反応することができるようになっていた。

田舎いなか…。確か、ただの田舎いなかです。』

田舎いなかぁ?んなトコ世の中にいっぱいあるぞ?夏休み中に見つけらんねーよ…。」

『キレイな、池か…?そんなものもあったかと……。。』

曖昧すぎる回答に、オレは首を傾げた。

いくら死んでから年数が経っていたからって、

故郷から離れた年数が長いからって、そこまで曖昧なことは少ない。まず死体を探す手掛かりから探す事があっていいのだろうか。

『仕方がないでしょう。記憶は断片的。俺みたいな霊は基本、記憶喪失の状態で世に放たれます。

……………自分の名前を思い出したのも最近ですし…。』

「そーなの?」


名前を忘れるってアリか!?


それにどうやって思い出す!?


そんな疑問を浮かべつつ、オレは次の質問を投げかける。

『……し…………しろ……、、?あ、?城守しろもり池…?そんなの、だったような…?そんな風に呼んでいたような、気がします…。』

恵翔があまりにも寂しそうな顔をするから、少しばかり、嫌なコトをしている、

加害者側に立った気分になった。

「し、仕方ねーよな。大丈夫だって。今、検索してやるから。」

そうフォローの様なものを入れ、オレはパソコンに

“城守池”

と入力して検索にかけた。

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