第10話・池

「うぉっ!!キレイな池だなっ!…けーい♡こんな景色なんだけど_______見覚えは??」

『_______!!』

一応、反応からして見覚えはあるらしい。

「よしっ。行ってみよう!……場所は…お。東京出なくて済むじゃん!


近くてよかったなって言いたかったけど中々の山奥だし行ったコトねーしで地味時間かかるかもホントゴメンでもオレ精一杯頑張って行くからだからオレについてきてくれ頼むから約束は果たさせてくれ頼む。」

『一息!?!?』

驚く恵翔へ苦笑いを返して、オレはスマホに入れてある地図アプリに、“城守しろもり池”を目的地に設定した。

「県内でも近いとは言えない距離だケド、夏休みの間に行ける範囲でよかったなっ!」

『1日のうちには行ける距離ですもんね。よかったですね。』

他人事ひとごとだなぁ!?自分のコトだろ?」

『実感が全くないんです。見のがしてやってくださいよ。』

他人事ひとごとのように微笑む恵翔にふと、なぜか無性にれたくなった。誤魔化すなんてコトはせずに、そのまま手を伸ばした。

「________________________っ…」

やっぱり、通り抜けてしまって、オレが伸ばした手は空気を掴んだだけだった。

こう?どうかしたんですか?』

「え?あ、いや、なにも……。」

一度は誤魔化さずに実行しようとした気持ちを、ついに言葉で誤魔化してしまった。ただ、態度や仕草では誤魔化せなかったらしく、恵翔けいとはニヤニヤして、

『あぁ、触りたい、とか?』

とすぐに言い当てられてしまった。

「ちっ…、ちっげーよ!!!!ウルセー!」

図星を突かれて恥ずかしくなって、つい声を荒げてしまう。それでも、恵翔は穏やかなままでいる。

『いいですよ。こうが触りたいのなら。』

優しい声色こわいろで手を差し出す恵翔けいと

そしてオレはも恐る恐るではあるがら恵翔の手に自分の手を伸ばす。

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