V-Day+1
──V-Day(+1)当日──
告白された。
相手は垂水綾子だ。
急のこと過ぎて事態が呑み込めない。
──V-Day(+1)当日っ(இдஇ; )──
「呼び出しって、垂水だったのか……」
はいっ、アヤちゃんがイズちゃんを呼び出しました!
私はそれを草葉の陰から見守っています。死んではいません、心は死にそうですがまだ生きています、実際には植木の傍に隠れています。さきほどから二人は睨み合い、両者ひとことも発していません。え、これ本当に告白の現場? 決闘とかじゃなくて?
「……話って?」
イズちゃんが言い、一歩、アヤちゃんに寄ります。
今のアヤちゃんは両手を後ろに回し、そこにチョコを大事そうに持っています。渡すタイミングを計っているみたい。
「っ……」
アヤちゃんが無言で一歩さがりました。間合いを保っています。その緊張した面持ちに何かを察したのか、イズちゃんが申し訳なそうに一歩さがりました。するとアヤちゃんが一歩詰めました。なんで? 両者は間合いを保っています。イズちゃんが一歩引けば、アヤちゃんが一歩詰めます。どうして? 二歩なら、二歩。三歩なら、三歩。アヤちゃんは間合いを大切にしているようです。???
「な、なんだ、達人か……?」
真剣な表情で、イズちゃんがそうこぼしました。なぜ告白するされるの場所で〝達人〟という単語が出てくるのか少し理解に苦しむところがあります。やっぱりこれ決闘現場じゃない? 通報した方がいいかなあ? 二人がそう示し合わせているだけで本当は告白のシーンとかじゃなかったら……………………いいなあ、って。えへへ、だめだよね、そんなこと考えたら。
「────!」
覚悟を決めたのか、アヤちゃんは今まで背中の後ろに回していた両手を、前に突き出しました。早業です! イズちゃんは眼を一瞬見開き、先を越されて後手になってしまいましたが回避行動に映りました。真横にごろんと転がったのです。やはりこれは決闘みたいです!
「え……い、いきなり何してるの……」
アヤちゃんは若干引き気味です。
告白しようとした相手がいきなり目の前で真横にごろんと回避行動とったら……うん、ヒくかも。でもアヤちゃんもちょっと悪いところあると思うよ? イズちゃんもイズちゃんで避けっぷりに無駄にキレがあったから、尚更気の毒なことになってるし。
「…………撃たれる、と思った」
「日本よ?」
「うん……よ、呼び出しもどこか果たし状みたいだったから……」
あ、イズちゃん顔紅い。イズちゃんが照れるのってわりと珍しいんです! かわいー♡♡♡ 私やっぱ好きかも大好きかもほんとに好きかもっ♡♡♡♡♡ いや落ち着いて、落ち着いて私。なにかが自分の中で爆発しかけてた。抑えなきゃ。
「それは……チョコレートか」
あ……察したみたいです。イズちゃん、察しちゃった。
意を決し、アヤちゃんの瞳に決意が燃え上がって、
「わ、わたっ……!」
綿。
「あなっ……!」
穴。
「好き!」
アヤちゃん強引に押し切った。力強い告白だ……うん、告白しちゃったね。
「……俺を?」
「御意!」
御意じゃないよ。
「本命にて御座候奉りの由!」
何語?
「…………」
イズちゃんが、真剣な眼差しでアヤちゃんを見ています。
「ごめん。受け取れない」
へ……?
「俺、好きな人がいる」
「っ……!」
あ、アヤちゃんの瞳に涙が。失恋の、涙が……。
「だ、誰なの、その人は……!」
アヤちゃんの涙交じりの問いに、イズちゃんは眼を一度閉じると、再び開けて、何かを決心したかのように……もし、もしかして、もしかしてこの流れって……! ご、ごめ、ごむん、ごむねん、ごめんねアヤちゃん、イズちゃんの好きな人ってもしかしてわた────
「阿世知美心さん。心映研の会長だよ」
あ゛あ゛?
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