第20話 ランクアップ
気絶し人間に戻ったレッドの処理は、自衛隊に任せて十朱達と合流する。ご丁寧に自分の罪の記録を残している様子だったし、こいつもこの戦争後、しっかり裁かれることだろう。
案の定、転がしておいたこの地区周辺の悪魔の半数は人間だった。悪魔はしっかりとどめを刺して、俺達は渋屋区へ侵入する。
渋屋区を制圧しているのは巨人の群れ。力は相当なものだったが、速度は亀並みだったから
ちなみにメフィストの血液を摂取した結果、アビリティに奴の反射系の能力が追加されていた。ただ実際に使用すると血液が相当量減る可能性が高い。メフィストの血液は限られているし、すぐにでもスキルに昇華させるべきなんだが、いかんせん俺は防御系のスキルを一切もっていない。一応、使用頻度が低い【ヒヨッコビーム】と融合させようとしたが無理だった。俺の戦力増強の要である【チュウチュウドレイン】は試すにはもったいなさすぎる。結局、防御系スキルの獲得を待つまでは可能な限り攻撃は回避することにした。
そして――
12月25日(金曜日)午前0時――渋屋区。
タイムリミットまで、3日と19時間。
6時間で遂に俺のジェノサイドバンパイアはLv60となり、楽しい楽しいランクアップの時間となる。
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〇名前:藤村秋人
〇レベル(ジェノサイドバンパイア):60
〇ステータス
・HP 200000
・MP 220000
・筋力 63088
・耐久力 35465
・俊敏性 34870
・魔力 71022
・耐魔力 70389
・運 8060
・成長率 ΛΠΨ
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ステータスはもはや異次元だ。魔力と耐魔力は相変わらずの成長率だが、筋力の増加率がアップした。
ただ、運が100しか上がっていないってどうよ? 壮絶に運が悪い種族ってことか? まあ、この運とかいう要素の意味もよくわからんわけだし、別に構わんが。
次がスキル。
まず、ジェノサイドバンパイアのレベルが60となり、
能力は即死レベルの威圧の能力だ。眼前の威圧を受けたものを問答無用にぶっ殺す。そんな極悪スキルであり、当然、全く使えない。
そこで、一応アビリティと融合できないか試してみると、なんと回復系の能力との融合が可能だった。
回復は相当使える能力だから失うにはダメージが大きすぎる。だが、どの道、回復系の能力を有する悪魔が少なかったこともあり、血液のストックはもうじきなくなる。躊躇する理由は大してない。
そこで融合してみると――。
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・天国と地獄の咆哮【Lv1/7】:敵とみなしたものには毒、麻痺などの状態異常を、回復対象とみなしたものには修復の効果のある咆哮を吐く。
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咆哮という手段が必要となったが、回復の効果は維持された。まあ、血液の消費が抑えられただけでも御の字だろうさ。
次が
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・
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糸の調節できる範囲が透明さや振動まで拡充された。特に強度と振動性を上げた糸はどんなものでも鱠のようにスパスパ切れる。マジで凶悪すぎるスキルだ。
また、糸に触れなくても無数の糸で包囲すれば、ステータスの減弱の効果を持たせることができるようなっているのを最近、発見した。この効果は非常に有用であり、俺も重宝している。
最後が、皆殺死だ。
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・
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万能属性攻撃から、防御、能力、奇跡に至るまでの無効化能力までクラスアップしていた。
このタイミングでスキルを得られたことは非常に運がよかったんだと思う。
次が称号だ。やはり、統合進化し、【殺戮真祖】という物騒な称号を得ていた。
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称号――殺戮真祖:限りなく不死に近い殺戮に特化した最恐の吸血真祖に贈られる称号。
殺戮真祖が敵とみなしたものに対し、攻撃範囲が著しく向上し、全ての攻撃がクリティカルヒットとなる。
・【食と才を極めし吸血王】の全特性を維持する。
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今まででも十分強力で持て余していたのに、攻撃範囲が著しく向上し、おまけに全攻撃がクリティカルヒットしてしまう。攻撃に全振りしているかのような称号だよな。
そして最後が待ちに待った種族のランクアップだ。
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・カタストロフィバンパイア(ランクA――不死種)
・真祖の吸血鬼(ランクA――不死種)
・デビルプレデター(ランクA――不死種)
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バンパイアを極めたいし、今回もカタストロフィバンパイアを選択するのが最上だろう。
まあ、カタストロフィの名前からいって、猛烈に嫌な予感しかしないわけなんだが。
「俺のランクアップだ。ここのデパ地下で休憩しよう」
「了解だぜ」
「おう!」
「うん!」
三者三様のリアクションをとりつつもデパ地下へ降りていく。
レジに気休めの金を置き、この討伐で必要なめぼしい食料を今食べる分を除きアイテムボックスに放り込んで、デパ地下の階段付近にある休憩所へ行くとテーブルに置く。
「で、アキトはなんで悪魔討伐なんてやってんだ?」
銀二が肉を食いちぎりながらも、尋ねてきた。
「え? 避難している人たちを助けるためでしょ?」
雪乃が、さも当然のようにそんなあり得ぬ与太話を口にする。
「阿呆、こいつがそんなおめでたい質かよ。切っ掛けでもなけりゃ絶対に動かねぇぜ」
「かもな」
銀二もよくみているな。その通りだ。正義感や使命感という言葉ほど俺にとって軽いものはない。
「ふーむ、だとすると、やっぱ、女か?」
ニヤニヤと悪質な笑みを浮かべながら、十朱が小指を立ててくる。今のお前、俺よりオッサンくさいぞ。つうか、ジェスチャーが古い。
「生物学的には女には違いないが、俺にとっては間抜けな同僚だな」
「ほーほー、やはり、女のために脱獄までしたのか! 中々熱い男だぜ!」
豪快に笑いながら俺の背中をバンバンと叩く。俺としてはこの熱血バカとあまり、一緒にして欲しくはないんだがね。
「ねー、アキトはその人、好きなの?」
身を乗り出し興味深々で尋ねてくる雪乃。なぜ、女って生き物は惚れた腫れたの話がこうも好きなんだろうな。他人の色恋沙汰など心底どうでもいいだろうに。
「あのな。あいつは俺の一回り下だぞ?」
「恋愛に歳は関係ないと思う」
不機嫌そうに眉を顰めて反論を口にする雪乃に、
「そういう言葉を吐けんのは、お前が部外者だからさ。実際なら検討するまでもなくありえねぇんだよ」
俺は近くの長椅子へと横になると、
「俺は今から種族を変える。三時間後に起こしてくれ」
そう指示を出し、瞼を閉じる。三時間が種族による休息の必要最低限の時間。この渋屋区の制圧も佳境を迎えるし、このまま面倒なく上手く運べばいいんだがな……。
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