第9話 バアルブラックの決意
悪英雄バアルの前に片膝をつく5人のレンジャー。
「ここからは吾輩と
「は! バアル様のお望みのままに!」
ホワイト・マグンが叫び、
「我らの悪の力、奴の魂に深く刻んでやりましょう!」
レッド・ノブカツが相槌を打つ。
「では、各戦場へと行くがよいのである。一度この区域を出れば、彼奴との戦後にならねばそこを出ることは敵わぬ。武運を祈るのであーる」
「「「「「は!」」」」」
再度首を垂れる五人にバアルは口角を吊り上げる。
立ち上がろうとするレンジャーたちの中で、
「バアル様にお願いがあります!」
ブラック・アズサが片膝をついたまま声を張り上げる。
「ブラック、君ぃ――」
ホワイト・マグンが眉を顰めて
「よい、申してみるのである」
「もしボクがあの人を倒したなら、あの人をボクにください!」
「ブラック!」
血相を変えて声を張り上げるブルー・ヒデキをバアルは一睨みで黙らせると、
「それは報酬という事であるか?」
率直に尋ねる。
「はい!」
バアルが神妙な顔で顎髭に手を当て熟考する仕草をしていたが、
「わかったのである。もしお前たちが彼奴を倒せば、願いを一つだけ叶えてやるのである。精々、励むのであーる」
その言葉を最後に、バアルの姿は煙のように消失する。
「ブラック‼ 奴は敵だぞっ!?」
「あのひとはボクのものだ。誰にも渡さない!」
右手に持つ杖をブルー・ヒデキに向けて、ブラック・アズサはそう叫び、歩き出す。
「アズサ、僕は諦めない。絶対に奴を殺して君を手に入れる!」
その後ろ姿を見送りながらも、ブルー・ヒデキは小さく呟いたのだった。
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