英雄譚第8話暁王族
その後、披露会は特にこれといった大きな問題なく終わりを迎えた。しいて言えば、どっかの辺境伯のバカ息子の親、セイン辺境伯の親が息子を連れて謝罪に来たことだ。親はすごく礼儀正しく、しっかりとした人で、腰折れるんじゃないかと思うぐらい謝ってきた。さすがにここまでされてはという事で、緊急時にはこちらの味方をしてもらうという条件付きでこの話は終わった。
「では、このあたりでお別れですねエナ」
「お帰りになられないのですか?」
「実は王様に呼び出しをくらいまして……」
「まぁ!」
「何かしたのかい? ソーヴ君?」
「何かまずいことを知ってしまったようです……」
「だから私たちは残ることになったからね、伯爵はお先に帰ってもらって平気ですよ」
「…………お父様」
「どうした? エナ?」
「私、ソーヴ様を待ちたいのですが、よろしいですか?」
「エナ?! 流石に待たせるわけには……」
「わかった」
「ありがとうございます、お父様!」
「いいね? ソーヴ君?」
「まぁ、伯爵がよろしいのなら僕は別に良いのですが……」
「イプシトラ侯爵家の方々、王がお呼びです」
「おっと、呼ばれたね。 それでは行ってくるよ」
「なるべく早く戻ります」
「はい、お待ちしてます」
そして僕たちは衛兵の後を追うようにして、王族の方々が待つところに向かっていった。
「いい婚約者を持ったね、ソーヴ」
「すみません父上、ご迷惑をおかけします」
「なに、気にしないでいいよ」
「ですが……」
「さて、着きましたよ、イプシトラ侯爵家の方々」
「うむ、先導感謝する」
「ありがとうございます」
「いえいえ、お気になさらず。 では私が案内できるのここまでですので」
「じゃあソーヴ」
「はい、お願いします」
父上は軽く呼吸を整えると、扉をリズムよくノックして名乗った。
「失礼いたします、イプシトラ侯爵でございます。
「うむ、入れ」
「失礼いたします」
「し、失礼いたします」
部屋に入るとそこには、机を挟み、対面になるようにソファーがあり、奥のソファーに王とあれは……第四王女だろうか?
「よく参った、まぁ座れ」
「失礼いたします」
「し、失礼いたします」
王様の対面に父上が、そして第四王女の対面に僕が座った。
「まずは名乗るとするか。 我、いや儂はネレス=フォン=アカツキだ」
「
「早速本題に入るが、ソーヴよ、これが読めるか?」
「は、拝借いたします……」
僕はネレス王から一枚の紙のようなものを渡された。そこには大きくこう書かれていた。
「暁……ですか……」
「読めるのか?」
「はい、しっかりと暁と書かれておりますが……」
「で、ではこれは読めるか?」
僕は新たにネレス王から拝借した紙には、こう書かれていた。
ー最重要機密書類ー
ここに暁王家の設立を記す。そして 、この文章を読めるものが現れたとき、その者の一族を王家に迎え入れる、もしくは何らかの手段をもって血縁関係を持つことをここに命ずる。これは我が暁王家の家訓とし、最優先事項にして、絶対厳守とする。
ー初代暁王、マゼンタ=フォン=アカツキー
「どうだ、それは読めるか?」
「え、えっと…‥はい、何も問題なく読めるのですが……」
「決まりだな」
「そうですね、お父様」
え、待って、なに? 僕の知らないところで勝手に決めないでほしい。 まったく状況が分からないのだが、え、どういう事?
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