英雄譚第4話判明

「では、ソーヴ様は神にお祈りください」

「わかりました」

「行ってらっしゃいませ、ソーヴ様」

「ありがとう、エナ」

「落ち着きなさい、ソーヴ」

「はい、父上」


 俺は、教会の奥に歩みを進めて、祈りを始めた。お願いだから変な職業だけは辞めてくれ、頼むから……


「来た……けど、ナニコレ?」


 俺の頭の中に響いた文字は、【刻印師】だった。


「刻印師? 何それ?」


  そしてスキルが頭の中に浮かんできた。でも、まったくもって何が何だか分からない。


「えーと……【漢和辞典】、【単語検索】、【解析・鑑定】、【言霊魔法】、【刻印】って何? 言霊魔法はわかるけど、それ以外は一体なんだ?」


 普通の場合はこれで終わるのだが、稀に初号を授かるものがいるらしい。


「あ、称号もあるの? えっとー、なになに【刻む者】に、【英雄譚の綴り手】……あっ……もしかして、今朝の不思議な夢って……このこと?」


 いや、でもそんなことはさすがに……そうだ、称号の詳細を確認してみればいいのか。


「【刻む者】は……言葉の持つ力を物に刻む者に与えられる称号で、効果は、刻印の成功率上昇か、まぁ……おかしいところはない」


 いや、でも問題はここからだ。今朝の夢に出てきた単語があるんだ。何か絶対にあるよなぁ……嫌だなぁ……嫌な予感しかしないけど……。


「えーっと、【英雄譚の綴り手】……歴史に残る英雄にのみ、与えられる称号で…………効果は、全能力値超補正か……」


 なんか色々とすごいけど、何より名前が恥ずかしすぎるよ……。


「終わりましたか? ソーヴ様?」

「レナーフ司祭……はい、何とか終わりました」

「そうですか、ではお下がりください」


 俺はレナーフ司祭に促されて、父上や、エナ、伯爵がいるところに戻ってきた。


「どうだった、ソーヴ?」

「どうなりましたかな? ソーヴ君?」

「どうなりましたか? ソーヴ様」

「はい、えっとですね、【刻印師】というものでした」

「刻印師? なんですかそれは?」

「僕にもわからないんだ。 父上や伯爵は聞いたことありますkか?」

「いや、私にはわからないなぁ」

「ふむ、聞いたことないね」

「そうですか……」

「で、では、スキルはどのようになりましたか?」

「スキルは、【漢和辞典】【単語検索】【解析・鑑定】【言霊魔法】【刻印】の五つでした」

「「「言霊魔法?!」」」

「はい、そうです」

「それって、とてもレアなスキルのはずですよね?!」

「そうだよエナ」

「それはそれは、よかったですね」

「はい、伯爵」

「そろそろ私の番ですかね?」

「多分……あ、ちょうどエナの番だね」

「では、行ってきますわ! お父様、侯爵様、ソーヴ様」


 エナは手を振りながら、奥に進んでいっていった。

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