第4章 大通り
私達は第1大通りをキヨの説明を受け歩いていく
服屋、小物屋、その他日用品等々
人間の世界とほとんど同じようなものが売られている
「ここはどっちかって言うと日常的に買い物に来る場所かな……あ、あそこにある甘味処は美味……――」
キヨは微笑みながら話していく
ふと気がつくと目の前に川があり私達は大通りの端まで来ていたことに気づいた
名残惜しそうに大通りを振り向くと
キヨが赤い橋の真ん中まで歩いていた
「ここの川を渡ると温泉街になるよ」
そう呼ばれた私は赤みがかった橋を歩いていく
下を覗いてみれば大きいけれど澄んだ水でとても綺麗だ
――あ、鮎だ……ここの魚は人間のところと変わらないのか
そんなことを思っていると橋の下を魚にしては大きく、早いスピードで通り過ぎていった影が見えた
その影を目で追っていくと川の真ん中の岩の上に何かが上がった
その様子を見ていたキヨが声をかける
「あ、あの方は”河童”の皿吉さん」
全身緑色で頭にはお皿のようなものがあり、口は鳥のようで目は思ったより大きい。背中には亀の甲羅のようなものがついている
――さ、皿吉……いや、親名前どうした
「河童は子供がたくさんいるからさ、名前をいちいち考えてられないんだよ」
キヨは呆れたようにいう
「ほら、あっちには”人魚”の琴さん」
そう言ってキヨが指差す方には上半身は人間の形、下半身は魚
鱗は7色に水面と相まってすごくきれいに輝いていた
「人魚ってあの?私達のところでは人魚の肉を食べると不老不死になると言われているんだ」
私は俗説をキヨに教える
「元々は河童も人魚も人間のところに住んでいたんだが、川は汚くなるし人魚なんて乱獲されていたからね。みんなこっちに越してきたんだよ」
キヨはため息まじりに教えてくれた
「あぁ、だから今は伝説として語り継がれているのか」
気がつくとキヨはもう橋を渡りきっている
私もそれに続くと温泉独特の硫黄の匂いが鼻についた
「ここが温泉街だよ」
キヨが両腕を大きく広げ到着を表した
「ちなみに今ここを管理してる人は人と妖の子だよ。まぁ、子といってもほぼ妖だから歳は取ってないけど。あとで案内しよう」
そういうとキヨは温泉街の通りの暖簾をくぐって入っていった
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