周囲23.鳥谷部夫婦

『ねぇねぇ、カズさん。あの二人って今どうなってる?』


「あの二人って、オウカとアスカちゃんかい? 相変わらず仲良しだよ。今日は、メイド服と執事服着て遊んでたし」


『遊んでただけ? 衣装着て、物理的に仲良くしてなかった?』


「物理的に?」


『もうヤッちゃってないかなって話。息荒かったりしてなかった?』


「父親に聞く話じゃないだろそれ。そんな場面に父親として立ち会いたくないよ……」


『ちっ……ミトリさんの作戦は失敗か』


「アスカちゃんのお母さん公認なの?! 何を話してるの君ら?!」


『もうねぇ、どうにかしてあの二人をくっつけないかって話をいっぱいしてる』


「サクラ、心配なのはわかるけど……。あの二人ってもう実質くっついてるようなものじゃない?」


『ようなものじゃダメなのよ!! 本当にくっつけないと!!』


「どこからその焦りが来るの……」


『だって幼馴染ってポッとでのヒロインに負けちゃう可能性もあるのよ? 転校生とか来たら危ういわよ!!』


「また暇だからって古いギャルゲーしてたのかい? 君の趣味は、アスカちゃんに大きな影響を与えたよね……」


『ギャルゲーじゃないわ、エロゲーよ。アスカちゃんにはギャルゲーしか教えてないけど』


「僕はやらないから違いがいまいち……」


『そこはいーのよ。ともかく、カズさんも協力してよね。夏休みには帰るから!!』


「帰ってくるのか。よかった、やっとサクラに会えるんだね。寂しかったよ」


『……へ?』


「もちろん、オウカがいるからある程度は平気だけどね。最愛の妻が傍に居ないってのは、とても寂しいものだよ」


『……あの、カズさん……今はちょっとその……』


「せっかくだから二人でどこか出かけようか? ジムのペアチケットはオウカとアスカちゃんにあげちゃったから……夜に二人で飲みにいくとか」


『ほんと、カズさん止めて、電話越しでも照れるから止めて……』


「あの二人の事も良いけど、僕にもちゃんと構って欲しいね」


『……分かっててやったね? いじわる……。わかりました、ちゃんとカズさんにもかまいますから、協力してよね』


「もちろん、愛する妻の頼みなら喜んで」

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