会話61.恥ずかしがる

「ねーオウカァ……そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないー」


「恥ずかしい……恥ずかしい……嫌な夢見てアスカに抱き着いてそのまま寝るとか恥ずかしい……」


「別に今更じゃーん。まぁ、オウカから抱きしめてくるのはひっさびさだったけどさぁ。小学校の時以来? あの頃はよくぎゅーってしてたよねぇ」


「うぅ……弱気になったとはいえ男として情けない」


「情けなくても良いよ? おうちでダラダラ過ごして外で働いている私の帰りを待って、帰ってきた私と爛れた生活を送るようなダメ男になっちゃっても良いのよぉ?」


「止めろぉ!! 今の俺にその言葉は冗談でもダメージがでかい!!」


「うわ、ビックリした。夢の内容教えてくれないし、そんなに怖い夢だったの?」


「うん……」


「よし! じゃあ、お互い病み上がりだし今日は一日ゴロゴロしてよう!!」


「貴重な夏休みがゴロゴロで失われてしまう……」


「たまにはいいじゃない。二人でお布団にくるまってゴロゴロしよーう。あ、お昼とお夕飯のリクエストはある?」


「ゴロゴロするって言ってるのに、アスカ料理するのか?」


「凹んでるオウカにはアスカちゃんの愛情料理が必要でしょ? 買い出しは一緒に行けそう?」


「それくらいなら、回復してるから大丈夫だ。……昼は炒飯が食いたいなぁ。高菜とキムチ入れたやつ」


「うんうん、了解。んで、夜は?」


「夜は……鶏肉……油淋鶏かチキン南蛮が食べたいな」


「揚げ物リクエストってことは食欲出て来たねー。良かった良かった。んじゃ、油淋鶏作ってお手製タルタルも添えて、どっちも楽しめる様にしよっか」


「……なぁ、アスカ……なんでそんなにしてくれるんだ?」


「まーだ弱気になってるなぁ。そんな当たり前のこと聞かないでよ」


「いや、当たり前じゃ無いだろ。つーかそれを当たり前と思ったら俺はダメになる」


「んー……そうだねぇ。大事な大事な幼馴染の為だから? オウカは違うの?」


「……そっか、そうだよな。うん。俺もそうだ。アスカの為なら何でもするよ」


「お、やっといつもの笑顔になったね。良かった良かった」

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