会話60.弱気な時

『オウカ、さよなら……』


『え? アスカ……? さよならって……?』


『私、この人と付き合うことにしたんだ』


『……付き合うって……誰だよそいつ?』


『だからもう、オウカとは一緒にいられないね』


『アスカ、質問に……』


『お弁当も作ってあげられないよ。おうちに遊びに行くことも、一緒に寝ることもできない』


『アスカ……?』


『だって、私……この人の彼女になるから……』


『……』


『今までオウカにしてきてあげたことは、全部この人にしてあげるんだよ?』


『アスカ……アスカはそれで幸せに……。そいつはアスカを幸せにしてくれるのか?』


『さぁ? わかんないよそんなこと。オウカは私を幸せにしてくれないの?』


『アスカ何言ってるんだ? 言ってることが滅茶苦茶だぞ?』


『私と離れたく無いんじゃ無いの?』


『離れたくねーよ。でも……お前が俺から離れるって言うなら俺に止める権利は……』


『じゃあなんで……オウカは泣いてるの?』


『泣いてなんか……泣いてなんかいないだろ』


『……さよなら、オウカ』


「アスカ……待って!! って……夢? なんであんな夢……?」


「大声出してどしたのオウカァ……? 風邪ひいてるんだから寝てなきゃダメだよ……?」


「いや、すげー嫌な夢見てさ……。アスカが俺の前から居なくなる……って……アスカ? なんで俺のベッドに……?」


「むにゃ……なーにぃ? 寒いから布団はがないでよぉ……」


「アスカ……!!」


「うにゃ? うひゃあぁ……どしたのオウカァ? んー? これオウカが抱き着いてくる夢ぇ?」


「良かった……いてくれた……」


「もぉー……うみゅ……怖い夢見たのオウカァ? ヨシヨシ……風邪ひいてると弱気になるからねぇ……」


「ごめん、また風邪うつすかも……このまま抱いてていいか?」


「しょーがないなぁ……いいよぉ……。またうつっても……オウカが一緒にいてくれれば……看病お願いねぇ……おやすみぃ……」


「あぁ……おやすみアスカ……」

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