周囲11.後輩のカラオケ

「あぁ……あぁ鳥谷部先輩……テスト終わりも素敵……。花野木先輩とどこに行くのかしら……羨ましいなぁ……花野木先輩……」


「んじゃ、俺とどっか出かけない?」


「うぴゃあっ‼︎」


「今日も良い奇声だなぁ日紫喜ひしき。綺麗で可愛いハイトーンボイスだ」


「褒められても嬉しゅうないわ‼︎ 毎回毎回なんで後ろから声かけるがよ!!」


「いや、ほら。今日でテスト終わったろ? だからクラスの連中でカラオケ行こうって話になってよ」


「そ……いってらっしゃい……」


「何言ってんだよ。日紫喜も一緒に行こーぜ?」


「は?」


「好きな子連れてって良い?って聞いたらみんないいよって。彼女連れてくる奴もいるぞ?」


伊達山だてやま……何を勝手なことを……」


「だからさー、カラオケ行こうぜー。何もしない! 何もしないから!!」


「それ何かする時の常套句よね……」


「本当に何もしないから!」


「否定されると……逆に怪しいわね…」


「まぁ、歌うから何かはするんだけどね。歌嫌いなの?」


「カラオケって……あれでしょ……?」


「ん?」


「歌もそこそこに男女がエッチなことするんやろう……うちやだ……」


「いや、今どきどんな偏見だよ……。そんなことしねーって。歌うだけ。歌うだけだからさ」


「……王様ゲームとかしない?」


「しないしない」


「カラオケなんて……行ったこと無いんだけど……」


「別にいいじゃん。二人でデュエットしよーぜー。ラブラブカップルで」


「ラブラブやないぜよ!! 何言うてんの?!」


「ちぇー。……ホントに嫌? 嫌なら俺も行かないから一緒に帰ろうぜ」


「……」


「……」


「……うち……そがな歌うもうないぜよ……?」


「お! ダイジョブだって!! 俺もそんな上手い方じゃねーからさ。一緒に行こうぜ」


「変なことしないなら……行く……」


「大丈夫。俺が絶対に守ってやるから」


「……おまさんが一番心配なんやけどね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る