会話39.ご褒美

「ねぇオウカ~。テストも終わったしさぁ、カラオケ行かない?」


「カラオケ?」


「うん、カラオケー!」


「アスカ、カラオケ嫌いじゃん。歌うの下手だから嫌だって」


「歌うのは嫌いだけど、人の歌聞くのは好きなの。上手い人のとか色々」


「そうなの?」


「そだよ。じゃなかったらカラオケ配信とか見ないよ」


「いや、それは推しのバーチャルなんたらのだからじゃないのか?」


「それもあるけどね。やっぱり推しの歌は格別だよー」


「ここでめんどいからカラオケ配信見ろよなんて言って断ったら……」


「お夕飯が寂しいことになります」


「脅迫だね。しかも俺が屈するしかないやつ」


「オウカのくっころだね」


「くっ……殺せ……!」


「ククク……殺しはせん……。さぁ……良い声でたっぷり楽しませてもらおうか……!」


「茶番終了」


「おぅいぇー」


「んじゃ、クラスの奴ら誘ってみんなで……」


「いや、二人で行こ?」


「へ?」


「私と二人っきりでカラオケ行こ?」


「いや、別にいいけど……他にも歌上手いヤツ……」


「私と二人っきりで、薄暗ーい個室の中で、誰にも邪魔されずに良い雰囲気になろ?」


「良いって言ってんのに、なんでエッチく言い直した?」


「オウカ喜ぶかなって」


「……不覚にもちょっと、ときめいた」


「よっしゃ!」


「つーか、みんなでワイワイした方が良くないか? お前の友達も呼んでさ。」


「んー、今日はオウカの歌声を聴きたい気分なんだよね」


「俺? 俺、そこまで歌は上手くないぞ?」


「いーの、私がオウカの歌が好きだから聴きたいなーって気分なの」


「んー……言ってもいいけど交換条件がある」


「なに? なんでも聞くよ?」


「アスカも歌えよ」


「え……? やだよ私すっごい音痴だし、泥酔したお姉さんの歌とか言われるんだよ?」


「……コレはお前にも言ってなかったんだけどさ」


「うん?」


「それがすごい可愛くて好きなんだよね俺」


「……」


「……なんか言ってくれ」


「しょ……しょうがないなぁ。だったら何曲かは歌ってあげるよ」


「よし、じゃあ行こうか。アスカの歌聞くの楽しみだなー」

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