会話31.電話

『もしもしオウカー? 聞こえるー? 今大丈夫ー?』


「いや、大丈夫って。アスカさっきまで俺の部屋いたろ。いきなりいなくなったと思ったらなんで電話?」


『私今どこにいると思うー?』


「アスカの部屋だろ?」


『正解ー☆ さすがオウカ、私の事よく分かってるー!』


「いや、お前が部屋に戻るって言って出てったんだろ。何がしたいんだよ」


『オウカと電話でお喋りしたくて』


「……それだけ? 普段面と向かって話してるだろ」


『いやー、ミツキがさぁ。毎日毎日惚気てくるのよー。キャラ崩壊酷いよー最近のミツキは』


「……風波見はクール系だと思ってたんだけどな」


『もうねぇ、デレッデレだよ。片思い期間が長かった分の反動かな?』


「あー、中学の時から好きだったんだっけ?」


『そ。まぁ、最初の印象は最悪だったみたいだけど……愛の力だねぇ』


「そうなのか。まぁ、他人の恋路に口は出さないけど……それが電話と何の関係が?」


『なんかね、毎日電話してるらしいんだけどさ。それがすっごい楽しいんだって、雑談とかご飯の話とかしかしてないんだけど、世界が違うって』


「めっちゃ乙女じゃん。まぁ、付き合い始めなら楽しいだろうな」


『んで、私もやって見たくなってオウカに電話しました』


「マジかよ。楽しいか?」


『楽しい!! なんか近いのに遠く感じて楽しい!!』


「そうかぁ……アスカが楽しそうで何よりだけど……何を話す?」


『え、話題? えーっと……えっと……』


「完全ノープランかよ」


『今日の晩御飯何食べたー?』


「アスカが作ってくれたコロッケ。美味かったなー……コロッケ……」


『そだよね……一緒に食べたもんね。楽しいけど話題って共通のしかないね……』


「あー……いい機会だから言っとくアスカ」


『ん? 何々?』


「いつも美味い飯ありがとな。アスカの飯、すげー好きだよ俺。アスカいないと生きられないわ」


『……ど……どういたしまして』


「うん、電話もたまには良いな。普段照れくさくて言えないことが言えるや」


『私はちょっと……電話の破壊力を再認識しました……』

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