周囲8.見守る女

「はぁ……鳥谷部とりやべ先輩……今日もカッコいい……素敵……素敵すぎ……ウフ……花野木先輩にあんなに迫られて……困ってる顔も可愛い……ウフ……ウフフ……」


日紫喜ひしき……お前なにやってんの?」


「うぴゃあっ!?」


「うお、ビックリした」


「ビックリしたのは……こっちよ伊達山だてやま……いきなり背後から……話しかけないで……」


「いや、背後からこそこそと鳥谷部先輩を凝視していたやつの言葉とは思えねーんだけど」


「ほっといて……。あぁ、カッコいい鳥谷部先輩……しゅきぃ……ウフフ……」


「好きならさっさと告白しろよ。んでスッパリとフラちまえよ」


「えぇい! うるさいき!! ちっくと黙っちょって!! フラれるのを望まんで!!」


「おい、素が出てるぞ。お前、素を出さないためにダウナー系装ってんだから。剥がすなよ仮面を」


「剥がしたのはおまさんやろう……。もう……いいから黙ってて……」


「つか、日紫喜それストーカーじゃね?」


「ストーカーじゃないわ、純愛よ……。その証拠に……鳥谷部先輩のご迷惑にならないように……半径数メートル以内には近寄らないようにしてるわ……」


「えぇ……? せめて話しかけたり、一緒に帰るの混ぜてもらえば? 存在を認知してもらえよ」


「そんなことしたら……緊張で死んじゃう……」


「つーか、花野木先輩の事はいいのか? あの人っていつも一緒にいるだろ。今も一緒だし」


「花野木先輩は……風の噂で付き合ってない……らしいから……私にもワンチャン……」


「……話しかけられない時点でノーチャンだと思うんだけど?」


「うっ……。いや、私のセクシーさで……迫れば……」


「どこがセクシーなんだよ。お前、まな板だろ。寸胴のお子様体型だし、ロリ校生だろ。合法ロリだろ。いや、高校生なら違法なのか?」


「そがなん言われいでも分かっちゅーわ!! われぶっ殺すぞ!!」


「ほら、また素が出た。だからさ、俺にしとけよ日紫喜」


「好き好き言うてくれるのは嬉しいけど……うちを好きな理由は?」


「……ちっこくて可愛いから?」


「死ね、このロリコン」

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