会話30.自転車

「自転車の二人乗りってしてみたいなー」


「アスカ、自転車乗れなかったっけ?」


「乗れるよ! そうじゃなくて、男の子の運転する自転車の後ろに乗って、一緒に白い砂浜の海岸が見える綺麗な道を通るの……」


「いや、そもそも二人乗りは法律で禁止だよな」


「危険だしねぇ……。漫画とかでは凄いロマンチックに見えるんだけど」


「まぁ、アスカを後ろに乗せて走れるかが問題だな」


「……それは私が重いと言いたいのかね?」


「いや、違う違う。違うからね、アスカさんその手の動きが怖いからやめようか。何しようとしてるのかな?」


「重いと言ったらこの天下の往来でオウカをくすぐります。それはもうくすぐります」


「やめろ、マジで止めろ。お前のくすぐりヤバいんだよ」


「じゃあ、何が言いたかったのかね?」


「普通に二人乗りしたこと無い場合ってハードル高くねぇ? って話だよ。普段とは違う重心になるんだぞ」


「……それもそっか」


「納得してくれたようで何よりだ」


「それはそれとして、オウカは家帰ってからくすぐりたくなったからくすぐるね」


「なんでだよ!! お前のくすぐり容赦ねえし俺くすぐり弱いんだよ!!」


「久しぶりに、くすぐられて凄くセクシーになるオウカを見たくなっちゃって……」


「……何それ、俺そんな状態になるの」


「涙目になって服がはだけてなんとも色っぽいのです」


「あんまり嬉しくない」


「二人乗りできないから、せめてオウカをセンシティブに感じたいのです」


「やめろ、今度二人乗りできるテーマパークとか探すから」


「ホント?! そんなのあるの?!」


「いや、知らんけど。探せばありそうじゃないか?」


「じゃあそういうの見つけたら一緒に行こうね!! 二人乗り楽しみだなぁ」


「……よし、とりあえずくすぐり回避」


「それはそれとして、中途半端に喋ったらくすぐりたい欲が出てきちゃった」


「止めろ、触ってくるな、せめて家まで待て、身体をまさぐるな……!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る