周囲4.デートがしたい

「デートしてみたいなぁ……」


津江月つえづき、デートならいつもしてるじゃないかキミ」


「え? 誰と?」


「ボクとだよ。光栄に思いたまえよ」


風波見かざはみ……あれもデートなのか?」


「男女が二人で行動すれば、それは全てデートだと思うけど?」


「えー? 友達同士でも?」


「友達同士でもだよ、知らなかったのかい。また一つ賢くなれたね」


「……それじゃあ、花野木はなのきさんはいっつもあいつとデートしてるってことじゃねーかよ」


「……そっちに行くのかい」


「どした風波見? 頭抱えて?」


「いや、まさか話題がそっちに行くとは思わなかったからさ」


「いや、あれはデートじゃない。デートは付き合ってる男女がするもので、あの二人のはデートじゃない!」


「おいおい……」


「だから俺らのもデートじゃない! 友達同士で楽しく遊んでるだけだ!」


「そんな寂しいこと、いくらボクでも傷つく……」


「……」


「……?」


「……」


「なんで何も……あれ? 津江月……なんか顔赤くない?」


「赤くない! 」


「もしかして……照れてるの?」


「違う、俺は花野木さんみたいな巨乳彼女とデートしたいの!」


「へぇー? ほぉー?」


「あれ、怒った? 待って、ごめん、耳をひっぱら……痛い痛い痛い!!」


「怒ってないよー? ボクは別に胸はコンプレックスじゃないから」


「いや、怒ってるだろ! めっちゃ痛いんだけど!?」


「アスカは確かに巨乳だけどさー、ボクだってそれなりにあるし、美乳だとは自負してるんだけど?」


「ごめんなさいごめんなさい! 耳引っ張りながら息吹きかけて囁かないで!」


「ボクのは最高かい?」


「微乳最高です!」


「微乳って言ったなこの野郎」


「なんでわかんの?! 美乳最高です! 風波見とデートできて幸せです!」


「よろしい」


「うわー……いってー、耳取れるかと思った……」


「これに懲りたら、照れ隠しも大概にね?」


「……分かったよ、ごめん」


「じゃあまたボクとデートしようね? おや赤くなって、可愛いやつだな」

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