会話12.調理実習
「なぁ、アスカ。お前から読ませてもらった漫画でさ、女子が調理実習で作ったクッキーをくれるって展開あるじゃん?」
「あるねぇ。うん。それがどうかしたの?」
「実際、授業って男女混合だから女子だけがクッキー作るってなくねえ?」
「フィクションに現実を求めちゃダメだよ。気になる男の子にクッキーを渡す女の子って展開、夢があるじゃない」
「うん、そうだよな。あくまでフィクションだよな」
「そうそう。フィクションだよ。つっこむのは野暮ってもんだよ」
「で、このクッキーは何だ?」
「調理実習で作ったクッキーだよ?」
「いや、今日は調理実習無かったろ。なんだよ調理実習で作ったクッキーって」
「オウカ先輩……私の気持ち……受け取ってくれます?」
「いつの間にアスカ留年したの?」
「ちーがーうー!! そこはちょっと照れてぶっきらぼうに『お、おう』って言うか、無駄にキラキラした笑顔で『ありがとう、嬉しいよ』って受け取るところでしょ!!」
「……ありがとう、嬉しいよ」
「ぶふっ!! ぐふっ…ぐふふふっ……!!」
「おい、何を気持ちの悪い笑い声あげてんだ」
「だって、だってオウカが見たことのないすっごいキラキラした笑顔で言うんだもん……不意打ちすぎる……」
「お前が望んだんだろーが! 茶化すならもうやってやらん!! クッキーもらうぞ」
「ごめんってばー。いや、素敵な笑顔だったからまたやってほしぐふっ」
「せめて最後まで笑いを堪えろ」
「ごめんごめん。それでどう? クッキー美味しい?」
「うん、美味い。お前、甘い物そんな好きじゃないのに、お菓子作ってくれるよな。なんで?」
「んー……? わかんないならいーよー?」
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