会話11.パンケーキ

「なぁ、アスカ」


「なに、オウカ?」


「なんで俺の目の前には頼んでない鉄板ナポリタンが置かれているんだ?」


「私の目の前には、頼んでない天使のふわふわパンケーキ~季節のフルーツ添え~が置かれてるねぇ」


「そっち、俺が頼んだやつだよね」


「そうね。そっちは私が頼んだやつ」


「……何故だ」


「たぶんまぁ、私がパンケーキを食べそうだからでしょうねぇ」


「イメージか」


「私がパンケーキを食べてそうな超絶美少女だから店員さんもついつい先入観で置いちゃうんでしょうね」


「なんで言い直した? まぁ、確かにアスカは綺麗だけどよ」


「……」


「でもお前、甘いものそんなに好きじゃないよな……せめて確認してほしかったよ」


「そういうオウカは、甘いもの大好きだもんね」


「とりあえず、交換しようか」


「うん。あ、ナポリタン一口食べる?」


「あー……タバスコかける前ならちょっと食べたい」


「タバスコ美味しいじゃない」


「辛くて酸っぱいって苦手なんだよ……」


「子供舌だなぁ、オウカは……。仕方ない、最初の一口を食べる栄誉を君にあげようじゃないか」


「いいよ、俺は気にしないで食べろよ。タバスコかけて食うの好きだろ」


「いや、よく考えたらさ……」


「ん?」


「最初に食べてもらえないと間接キスになっちゃうから……」


「……そういう事なら」


「ふーふー……はい、あーん」


「あーん……あっちぃ!! でも美味い!!」


「美味しいよねー、鉄板ナポリタン。私もたーべよ。いただきまーす」


「あ」


「ん? なに?」


「いや、結局間接キスに……」


「あ……ほ……ほんとだ……」


「……」


「……」


「パンケーキいる?」


「……いらない」

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