会話10.待ち合わせ
「オウカおはよー? 待ったー?」
「待ったよ、めっちゃ待ったよ。なんで家隣同士なのに駅で待ち合わせるんだよ」
「いやいやいやいや、違うでしょオウカ。そこは『今来たとこだよ』って言うところでしょ」
「アスカ……お前、またなんか漫画を読んだな?」
「あ? わかる? なんか彼氏と一緒に登下校するってのが良くってー」
「それで俺を待たせたと?」
「待たせました☆」
「おい止めろ。ウィンクしながら可愛いポーズ取るな、逆に腹立つ」
「えー、言った通り報酬に今日のお弁当はスペシャルだよー?」
「スペシャルとな」
「今日はなんと……豪華!! ステーキ弁当です!!」
「……!!」
「オーストラリア産の牛肉が安く売ってたからねぇ。タレにつけて一枚肉を豪勢にご飯の上に乗っけてるよ!!」
「マジか!! テンション上がる……!! あ、でもオーストラリア産かぁ……」
「ん? オーストラリア産にご不満が? オージーさんに何か嫌な思い出でも?」
「いや、昔食った覚えがあるんだけど……なんか肉が硬くて臭くてあんまり美味しくなかった覚えが……」
「今はそんなこと無いよ。だってほら、昨日の晩御飯」
「あぁ、昨日はチンジャオロースだったっけ。豚肉じゃなくて、牛肉で美味かったよな」
「あれ、オーストラリア産の肉ね。今日のステーキ用肉と同じ」
「マジで?! めっちゃ美味かったんだけど!!」
「マジ!! まぁ、私の愛情あっての料理ですけどね!!」
「すげえなアスカ!! お前の愛情込められた手料理が食えて俺は幸せ者だよ!!」
「……」
「どしたアスカ?」
「ほんとにさぁ、そういうところズルいよねオウカは……」
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