会話9.映画

「あー!! 面白かったー!! 面白かったよねオウカ!!」


「そうだな、面白かったな。まさか女児向けアニメがあんなに熱い展開だとは……」


「だからオウカも、一緒に日曜の朝は早く起きようって言ってるのに」


「日曜は寝てたいんだよ……」


「まぁ、オウカの部屋にテレビあるから結局は一緒に見てるんだけどね」


「お前に起こされてな……寝ぼけてるから半分も内容は理解できてないけど」


「面白かったでしょ!! 熱いバトルだったよね!!」


「しかしまぁ……アスカがこのペンライトで応援しだした時はビックリしたけどな」


「一回やってみたかったんだー。オウカもやれば良かったのに」


「さすがにハードルが高い」


「でも、おんなじくらいの年の男子も居たよ? 恥ずかしがらずにやれば良いのに」


「いや、そもそもファンでもない俺が照れながらそんなことやったら本当のファンに失礼だろ。そういうところはキッチリしないと」


「真面目だねー。そんなの考えずに頭空っぽにすればいいのに」


「お前はもうちょっと考えてくれ……。最後泣きながら俺に抱き着いてくるとか……周囲の視線が結構痛かったぞ?」


「えー?」


「カップルで見にくんなやって、露骨に舌打ちもされたぞ……」


「幼馴染で映画見に行くくらい普通じゃんねー?」


「幼馴染で女児向けアニメの映画を見に行くのは普通なのか?」


「あたしとオウカで恋愛映画見に行くよりは普通なんじゃない?」


「……それもそうか」


「じゃあ、来年もよろしくぅ!」


「マジかよ。分かったよ……その代わり、次は俺の好きな映画にしてくれよな」


「えー? オウカの好きな映画ってホラー系じゃん……」


「ホラーじゃねぇ、ミステリー系だ」


「怖くないなら良いけど……怖かったら夜一緒に寝てよね」


「あいよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る