会話8.席替え

「あれ? アスカが隣?」


「うん。私が隣。なにげに初めてじゃない? 学校の席が隣同士になるのって」


「……そういえばそうだな」


「隣だからって変なことしないでよね」


「変なことって何だよ」


「んー……私の寝顔を見たりとか?」


「寝るのかよ。寝るなよ。授業を聞けよ」


「それもそうだね。オウカ、じゃあ私の寝顔を見ないようにして私を起こして」


「無理難題を言うな。そもそも寝るな。授業は真面目に聞け」


「オウカって真面目だよね~……見た目に反して」


「アスカは不真面目だよな、見た目に反して」


「だからちょうどいいんじゃない? 私達って」


「ちょうどいいのかぁ? なんか俺が一方的に利用されている気が……」


「お弁当作ってあげてるし、料理とかも作ってあげてるでしょ」


「まぁ、そうだな」


「私達はそういう風に互いに利用し合う関係なのだ」


「言い方! 言い方が悪い!!」


「ふっふっふ、オウカが料理を覚えたら私は用無し……。オウカァ~……見捨てないでぇ……私を捨てないでぇ~」


「やっぱり言い方が悪い上に自爆してる!!」


「捨てない?」


「捨てるも何も拾った覚えが……やめろ、ガチで泣きそうな顔するな。罪悪感が凄いから。冗談だ」


「良かったー。私、オウカに捨てられたら生きてけない。三日くらいは悲しんじゃう」


「矛盾してるじゃねーか。三日後には元気じゃねーか」


「とりあえず、これからよろしくねー。お隣さん」


「あぁ。よろしくなお隣さん」


「さしあたって、次の授業の教科書忘れたから見せてね☆」


「……教科書はちゃんと持ってこい」

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