第12話 帰り道

 ガタゴトと馬車に揺られる中、緊張でカチコチになりながらも、ぎゃあぎゃあ争っているラダとダビの二人と、先ほどから幾度となくものすごい顔になっているお父様の三つのきれいな顔に囲まれて、私とても眼福でございます。

 右を見ても美形、前を見ても美形、斜めを見ても美形、どこを見ても美形が見えます…。今までこんなにも美形が同じ空間に複数人集まることなんてなかったことだから………とっても私得です。ほんと眼福………しみじみ感じます。


 ちなみに、私の左は窓なのですが、毎日使いの者たちがピカピカに、汚れ?そんなの許さん!精神で磨き上げてくれているものだから、唯一だれもいなく本来なら外の景色が見えるはずの窓さえもまるで鏡!反射して見事に三人の美形が映し出されていました。

 ほんと何なんですか、私を殺す気ですか!!

 コホンッ…。

 少し興奮してしまいました。

 こうして私は、美形な三人の男たちの顔を観察しながら家に向かう馬車にガタゴトと揺られていたのです。

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