第11話 馬車の中でガタンゴトン

 ガタゴトガタゴト…


 私たちは馬車に揺られながらアルティニアの町をめざして進んでいく。

 私の横にはガチガチに緊張しきったラダと、そんなラダをからかうダビの姿があった。

 お父様はそんなふたりの姿を、まるで愛しい息子達を見るような目で見ていた。

 こんな客観的に見ている私だが、きっと私もお父様と同じような目をしているのだろう。

 なんだかんだと言っていたお父様だったが、いつの間にか二人はお父様の懐の内側に受け入れられたようだ。


 ダビ「なんだ〜ラダ、緊張してるのか?相変わらずお子様だな〜」ニヤニヤ


 ダビは隣に座っているラダの頬をつつく。


 ラダ「う、うう、うるさいな!緊張もするだろ!だって、こんなふかふかな椅子座ったことないし…馬車にだって乗ったことないんだよ?!……それにダビだって人のこと言えないだろ?!」


 無口系美少年だと思っていたラダくんは、なんとなんとさっきまでの静かさはどこに行ったのか聞きたくなるくらいに饒舌に話し始めた。

 え?ほんとどこに行ったの?さっきまでの無口系美少年!!カムバァァァック!!!

 というか、危うくラダくんのキャラ崩壊に意識取られて流しそうになったけど……最後にダビだって人のこと言えないだろって言ってたよね?え?どゆこと?


 ラダ「…ダビ…気づいてないかもだけど……足震えてるし…瞬き…めちゃくちゃはやい…。」


 あ、ラダくん話したから落ち着いたのか、無口系美少年に戻ってる。

 って!そうじゃなくて!え?!ダビ?!ほんとに?!

 ラダの言葉に私はもちろんのこと、お父様までもが驚愕の顔でダビの顔と足を凝視する。


 ダビ「みっ見るな!」ガタガタ!ぱちぱち!


 さっきまで何故気づかなかったのか謎なくらいガタガタぱちぱちしているダビがそこにいた。

 ダビってもっとふてぶてしくて、怖いもの知らずで、堂々としてて、無礼な人だと思ってた……。


 ダビ「イザベラお嬢様よ〜俺の事そんなふうに思ってたのか?!ほとんど貶してんじゃねぇか!」


 ん?何言ってんの?急にどうしたのかね?ダビくんは…


 ダビ「全部声に出てんだよ!!」


「あらまぁ〜」


 ダビ「あらまぁ〜、じゃねぇよ!」


 あらまぁ〜全部声に出てたみたいです!

 やっちゃった!ごめんね〜許して〜てへぺろ!

 話変わるけど、ダビ私のあらまぁ〜ってとこの声真似、再現度が異常に高かったんですけど!

 すごいね!ハイスペックね!

 私のイケメン贔屓とかじゃないよ?

 だってお父様が目をまん丸にして口はパかーって開けてイケメン台無し…いや、イケメンがやるとイケメンのままだわ、憎らしい!ってそうじゃなくて、イケメンのままだけど!凡人がやればなんとも台無しな顔でダビ見てるし!

 ハイスペックね〜大事なことなので2回言いました!


 馬車の中は、なんとも和やかでにぎやかな空間でした。



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