第7話 イザベラ初めての長旅

 魔力測定が終わってから数か月がたった。

 今日もいい朝だと思いながら身支度をして家族が待つ食卓へと向かった。

 机について朝食を食べていると、お父様が私に話しかけてきた。


 父「イザベラ、明後日からダンディガという大きな街に行ってアルティニアの特産物を売りに行くんだが、イザベラも行くか?」


 そんなお父様からの楽しそうな誘い、断るはずはない。


「本当ですか⁈ぜひ同行させて下さい!」


 かなり食い気味に返事を返したが、お父様は微笑ましげに、今までアルティニアの領地以外に数回しか外に出たことがなかったからな、と言った。

 そんな私たちの会話を、のほほんと聞いているお母様とお兄様。

「あら~楽しそうね~」とお母様。

「ほんとですね。とても楽しそうです。」とお兄様。

 なんとも私の家族はのほほんとしている人が多いマイペース一家なのであった。

 そんな私は朝食を食べた後から早速明後日の事についての支度を始めた。

 その時の事をメイド達はこう語る、

「今まで仕えてきた中で、いや、これからのことも踏まえてこれ程お嬢様が楽しそうで、嬉しそうで、笑顔が素晴らしいことは他にないだろう。」

 と。


 そしていよいよダンディガの街に向かって出発する。

 私達の事をお母様とお兄様、家のメイドと執事達が見送くりに来た。


 母「行ってらっしゃい。楽しんできなさい。」ふわふわ

 兄「行ってらっしゃい。道中気おつけてね。楽しんでおいで。」にこにこ

 メイド「お嬢様!服はお持ちになりましたか?!櫛は?!お水は?!もしもの時のための救急セットと、簡易シャワールームに簡易ベッド!それからお嬢様の美貌を保つための美容品!!あぁぁぁぁ!他には他には……!!!!」わたわた

 執事「旦那様、お嬢様。お気をつけて。仕事のことは気にせずに商売も程々に楽しんでいらしてください。」にっこり


 なんだろうか、この温度差は……。

 メイドさん、慌てすぎですよ〜というか、服はまだしも櫛は別に要らないような気がする……。

 というか、簡易シャワールームって、簡易ベッドって……いやいやそんなに要らないって…。

 まぁまず落ち着こ?ね?落ち着こ?


 そんな、楽しいお見送りを受けながら馬車は動き出した。

 アルティニアの町を私達が乗った馬車が通る。

 窓からふと町の様子を見ていると、町の民が行ってらっしゃい!!楽しんで!!お気をつけて!!っと言っいるのが聞こえた。

 本当にみんな優しい。

 そんなみんなに見送られ、馬車に揺られること数時間……。


 やっと着いた〜!!

 馬車に揺られ、ガタガタゴトゴト、ガタガタゴトゴト……おしりが痛い……。

 馬車から降りた私の目の前には、それはそれは大きな街があった。

 アルティニアの町よりもきらびやかで豪華なイメージだ。

 お父様によると、このダンディガの街は各地から商人が集まるためバナルタール王国一の貿易の街だそうだ。

 あ、バナルタール王国とは私たちが住んでいる国の名前で、今から10年前に長い間ライバル国として対立してきた現在一番権力を持っているとされてきた隣国のラバーン王国を打ち破り、2000年にわたる因縁の決着を付けたことで、とてつもない権力を持つ国となった王国だ。

 ちなみにその時、最前線に立って戦っていたのは、当時15歳の天才騎士である父、ユークリス・テイラーだった。

 父であるユークリス・テイラーは、過去最年少で騎士になり大人顔負けの腕前を持つとても才能のある若き騎士だった。

 そんな彼は長年の対立に終止符を打った。

 その業績は計り知れない………。


 そんな王国にある一番の貿易どころ、ダンディガの街。

 ああ~早く街を見て歩きたい。


 父「イザベラ、お前はダンディガの街をじっくりと見てくるといい。ただ気を付けるんだぞ?俺がお前に特訓を付けてきたとはいえ、まだお前は5歳の小さな女の子だからな。本当に身に危険を感じたらとにかく逃げるように。それだけは約束してくれ。」


 そんな私のそわそわした感じに気づいたお父様が私にダンディガの街を散策してきていいといってくれた。


「はい!気を付けます!」


 私の元気のいい返事を聞くと、お父様は私の手に少量のお菓子と、お金が入った小さな子袋を渡してくれた。


 父「これを持っていくといい。気をつけて行ってくるんだぞ。」


 お父様は私のことをやさしく送り出してくれた。


 さぁ!

 ダンディガの街を散策するとしますか!!

 そういきまきながら私はダンディガの街へと足を進めた。

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